第27話 完全に無理寄りの無理
それは、その……
うん、まあフレンド作りでもあるけど、
実際は相方作り寄りの店だよな。
なるほど。
相方か……。
興味はある。
……いや、無いわけがない。
目を閉じて想像してみる。
女子プレイヤーとキャッキャウフフしながらクエスト。
雑談しつつ戦って、たまに失敗して笑って――
うん、最高だ!
……いや、最高すぎるだろ。
しかも、だ。
個別チャットをしてもいい、だと?
まさにパーフェクトルール。
こんな店が存在したとは……。
どうして今までPT募集掲示板、ちゃんと見てなかった……。
バカバカ、俺のバカ。
「だから俺君も、気になる人が居たら声かけてみて。
皆、誰かと話すためにここに来てるからね」
「は、はい!」
よし。
マスターのお墨付きもある。
……あるけど。
とはいえ、まだ他に客はいない。
開店と同時に来たからな。
なんなら十分前から入口で待ってた。
くっ!
早く来すぎたか。
「マスター、こんばんは~」
来た!
……いや、落ち着け俺。
まだ声かけていいか分からんだろ。
がっつきすぎだ。
今いる客は、普通にマスターと雑談してる感じ。
そうだよな。
ここはBARだ。
休憩目的の人がいてもおかしくない。
……あ、また一人来た。
また一人。
また――いや、結構来るな!?
前に入ったカフェより普通に人が来る。
まだ開店して十分くらいだぞ?
え、ここ繁盛店なのか?
どうやら俺は、当たりの店を引いたらしい。
それにしても――
誰も表示なんて……
……してる!
分かりにくいけど、してる。
なるほど。
このある程度の暗さが、認識阻害になってるのか。
よし。
早速、個別チャットで声を――
かけられるわけがない!
無茶だろ、マスター!
さらっと言ってたけど!
これ完全に無理寄りの無理やん!
まて、落ち着け。
……いや、無理だわ。
え?
これ、逆に無言の圧じゃないか?
表示あるのに声かけないとか、
それはそれで失礼なんじゃ――
……いや、違う。
汗が出る。
こんな汗かくことある?
あ、また一人入って――
最初から表示出てる!
マジか。
しかも全員、女性。
どうなってんだ、この店。
いや、ハーレム万歳!
……違う。
状況だけ見ればそうだけど、全然違う。
誰一人、俺を気にしていない。
俺は、ちらっと時計を見た。
無言の圧とともに、
夜だけが、どんどん深まっていく。
俺だけを置いて。
※本作は最後まで公開予定です(物語の結末まで描ききります)。




