第17話 まったりギルドに入ったはずだった(違和)
「そういえば俺君、ペットは持ってるかな?」
「あ、はい。
ほぼ使ってないんですけど……」
「庭に置いとくと、ちょっとずつ育つんだよ」
「え、そんな機能あるんですか?」
「あるある。
ただ、専用アイテム使わないと効率悪いけどね」
「なるほど……」
「良かったら、置いといていいよ」
「ありがとうございます。
じゃあ、ちょっとマーケット見てきますね」
……数分後。
「……あれ?」
専用アイテム、二種類。
・通常育成用
・成長補助用
通常育成用は俺でも手が届く値段だけど、
……補助用は、結構高いな。
補助用1つで、今の俺の全財産でも届かない。
初心者向けじゃない、これは。
とりあえず、通常のだけ買って戻るとするか。
「戻りました。
補助用アイテム、結構いい値段しますね」
「あー、それね」
ギルマスは、軽い調子で言った。
「うちの倉庫に余ってるから、使っていいよ」
「え?
いや、それは……体験加入ですし……」
……待て。
それ、今の立場で使っていいのか?
判断として、ちょっと早い気がする。
「すみません。
自分で取れる方法、少し調べてみます」
「……」
一瞬、間が空いた。
「気にしすぎじゃない?」
「え……」
「使っていいって言ってるんだからさ」
……違う。
分かってないのは、たぶん俺だ。
でも。
今それを受け取ったら、
“体験”の線を越える気がした。
「いえ……
もう少し、自分でやってみます」
「……ふーん」
その瞬間。
ほんの一瞬だけ、
空気が変わった――気がした。
……気のせいかもしれない。
でも、
安心していい場所かどうかは、
まだ決めなくていい。




