第16話 まったりギルドに入ったはずだった(加入)
あれから数日。
俺は、まだ少しモヤっとしたまま、ソロプレイを続けていた。
「ふー……今日のクエストも、これで終わりか……」
正直、最近ちょっとキツい。
ダンジョンはマッチングで何とかなる。
でも、フィールド狩りは完全にソロ仕様だ。
……二人いれば、楽なんだろうな。
いや、違う。
ない物ねだりはやめろ。
──ん?
「あっ……なんで今の今まで忘れてたんだ……」
ギルド。
そうだ、ギルドという文明の利器があった。
なんで俺、掲示板スタートしたんだっけ。
……いや、もういい。今さらだ。
探そう。
「○○ゲーム ギルド 募集……っと」
……公式掲示板か。
安心安全。たぶん。
ポチッ
そこには沢山のギルド募集が表示されていた。
いや、募集多すぎだろ!
「戦闘ガチ勢募集」
「高難易度周回固定」
……無理。
まったり系……まったり系……。
「ソロ勢歓迎」
「初心者OK」
「挨拶強制なし」
「好きな時間に好きなことしてます」
「体験加入可」
……ここだ。
条件、全部そろってる。
人数も少なめ。ちょうどいい。
「初心者ですが、体験からで入れてもらいたいです。よろしくお願いします」
送信。
返事はゲーム内で来るらしい。
今日はもう落ちて、明日待とう。
──翌日。
ピロリン
「うぉっ……!」
久しぶりの個別チャット音。
これ、毎回ちょっと心臓に悪い。
「俺さん、はじめまして!
体験加入OKですよ。
もし今お時間あれば、案内しますがどうですか?」
……感じいい。
「お願いします。初心者なので、色々教えてもらえると助かります!」
「初心者さん大歓迎だよ! 分からないことは全部聞いてね、遠慮いらないから!」
「じゃあ加入申請送りますね!」
『○○ギルドに加入しますか?
はい/いいえ』
……新しい人間関係。
一瞬だけ迷ってから、
俺は「はい」を押した。
「まずね、うちにはギルドハウスがあるんだ」
へぇ。
「体験の人も使えるようにしてるよ。
イベントとか、休憩とか、自由にどうぞって感じ」
「ギルド画面からワープできるから、試してみて?」
「わかりました」
……画面暗転。
「おお……」
庭付きの建物。
ちょっとした空間だけど、妙に落ち着く。
「これがギルドハウス……」
MMOっぽい。
一気に、世界に近づいた感じがした。
門の前で立ち止まっていると、
「俺くーん、入って入って!」
「あ、失礼します!」
中は、思ったより静かだった。
装飾用のオブジェと、小動物系のペット。
「すごいな……初めて見ました」
「でしょ? みんなの憩いの場って感じだよ」
「うち、基本ソロ尊重だけどね。
でも困ってるのに黙ってるのはダメだからね?」
……普通に、いい人だ。
この場所。
少なくとも、拒絶はされてない。
……たぶん。親切な人、なんだろうけど。




