第11話 おしゃれ装備と、成功体験
いやー……。
めっちゃA姉さん、良い人だわ。
(ちょっとチョロいけど)
これはもう、完全に信頼していいタイプの人だ。
少なくとも、今のところは。
とりあえず、
A姉さんの言う通り『おしゃれ』とやらをしてみるか。
「A姉さん、じゃあ俺、
このアイテム早速使いたいんですけど……
今持ってる装備って全部、
クエストでもらった普通の鎧系なんですよね」
「うんうん」
「アイテム名教えてもらえたら、
マーケットで買ってきますよ!」
「うーん……俺君……」
急に、
A姉さんのテンションが一段階落ちた。
「それなんだけどね……
多分……今は無理かな」
「え?」
「じゃあアイテム名教えるから、
実際に見た方が早いと思う。
○○ってアイテムで探してみて?」
「OKです!
ちょっとマーケット画面見ますね!」
――数分後。
「……は?」
声、リアルで出た。
普通の鎧系装備:
1万マネ。
性能ゼロのおしゃれ装備:
10万マネ。
「……高すぎるだろ」
「そうなの……」
A姉さんが、
少し申し訳なさそうに言う。
「おしゃれ装備って、
どうしても高くなっちゃうのよ」
……無理だ。
今の俺の全財産、
それに届いてない。
「だから今回はね」
トレード画面が開いた。
「お姉さんが、
プレゼントしてあげる!」
表示されたのは、
服・腰・足装備の三点セット。
「……え、
こんなにいいんですか……?」
「いいのいいの!」
軽い。
軽すぎる。
「それ、さっきのアイテム使って
今の防具に表示させてみて?」
「わ、わかりました……!」
――しばらくして。
「……すげぇ」
別人だ。
初心者感が消えてる。
「テンション上がるでしょ?」
「上がります……」
A姉さんが満足そうに頷いた。
「種族聞いてから、
それに合わせて作ったのよ」
……いつの間に?
「さて」
A姉さんがこちらを向く。
「俺君のおしゃれも出来たし、
どっか行こっか?」
「おお、いいですね!」
この時の俺は、
まだ気づいてなかった。
この流れが、
“成功体験”としては
出来すぎていることに。




