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1/96〜男女比1:96の貞操逆転世界で生きる男刑事〜  作者: Pyayume
第一章「通 報」

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第9話「腕の傷」

石田が腕の傷と言った瞬間、臨場前にちらっと見たファイルで「腕の傷」と記載があったような気がした。


今回の喧騒は単なる偶然か、それとも行方不明の徴候か。


『これは見逃してはいけない部分だ!』と、前世の刑事の感も言っている気がした。



移動中に聴取を続ける間、後部座席の隅で中村が小さくメモを走らせているのが見えた。


彼女は不用意に言葉を発しないが、目は鋭い。


後藤は窓の外を警戒しつつ、無造作に話の梗概を訂正する一言を投げてくる。


要所での連携が、一気に男の不安を和らげる。


本部に戻る前、俺は石田にぽつりと言った。


「ここで話したことは外には話さないから安心してください。あとSPの件はしっかり行政に通報するのが良いと思います。」


「ありがとうございます。本当に…ありがとうございます。」


「最後に、もし次何かあったら遠慮なく110番通報してください。かけるか迷った時はかけてください。」


石田は安心しきった顔でうなずき、被害者支援課の男性とに連れられて行った。


---


「Dランク落ちでSPが変わるっていうのは結構あるらしいけど、飛んじゃうとはね」


執務室に戻りると中村が口を開いた。


「まぁ不能なんて守ったところで国益になんねーってもんでしょ!」


あっけらかんと後藤が答える。


「それより、石田の元SPが気になりませんか?」


俺の言葉に後藤は訝し気な表情を浮かべた。


「気になるって、担当変更なんてよくある話じゃねーのか?」


俺は、臨場前に手に取ったファイルの1ページを開いた。


「この男性に付いていたSP、防カメ画像で腕に傷あるんですよ。」


そう言って、中村と後藤の間にファイルを置く。


二人とも食い入るように写真を見ていた。


その時、ゆっくり扉が開き山崎も帰ってきた。


「行方不明の件こっそりまだデータ残ってる防カメ回収しようと思ったが、もっと良い情報が転がり込んだな。」


その顔には少し笑みが浮かんでいる。


「石田の元SPの話ですよね。」


「ああ、石田の元SPがかなり怪しいからここ中心に捜査しようと思ってる。ただ外に出ると余計な注目を浴びる。どうすればいいか考えながら捜査するぞ。」


山崎はそういって、石田の情報が記載された紙を机に投げた。


「参考だが、男性情報検索システム叩いてみたら、不運なことに石田はDランクになる前はBランクで、急に2ランクダウンしているようだ。これで石田の聴取結果はほぼ信用できると考えられるな。」


俺は、病気もなく2ランクダウンが考えにくいのではと思ったが、3人とも気にしていなさそうなので、口に出すのはやめた。



ひとまず、石田が記した“腕の傷”に該当するSP――彼女は一体何者なのか、それを解明しなければならない。


捜査は静かに秘密裡に始まる。

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