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1/96〜男女比1:96の貞操逆転世界で生きる男刑事〜  作者: Pyayume
第三章「潜入」

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第27話「妙案」

「それは、私を現場に潜り込ませて、保護通報による即時強制執行を使う方法です。」


全員が一瞬、時間が止まったような顔をした。


「LUXEで働きたいランクDとして現場に潜り込み、男性保護通報を発報します。就業希望者の保護通報なら、現場での押収の範囲は店の営業に関するもの全てに及びます。」


俺はさらに続けた。


「さらに、皆さんには黙ってましたが、私はランクSです。通報後1分と立たず、各機関が一斉に動き、私の強制保護が実行されるはずです。」


「……えっ、佐藤主任がランクS?てっきりランクDで、割り当ての職に絶望して警察官になったのかと思ってました。」


中村が思わず声を上げた。


「いや、話してもよかったんですけど、余計に色眼鏡で見られる気がしていて。まぁそれは置いといて、その通報をトリガーに、皆さんに突入してもらおうと。」


「……何を言ってるんだ!!佐藤主任!!」


声を荒げたのは山崎だった。


額に青筋を浮かべ、拳が小刻みに震えている。


「前にも言っただろう!そんな危険な真似、許可できない!Sランク男性が一人で潜入なんて、国を人質に出すようなもんだ!」


山崎の言葉を引き継ぐように、中村が強い口調で言い放った。


「佐藤主任が保護通報を出した瞬間、現場は封鎖されます。もし資源庁が関わっていたら、証拠もデータも全部潰される危険がある。」


「そうだ。」


後藤が腕を組み、眉をしかめる。


「しかも男性データベースの再編作業は明日からだ。仮に現場で証拠を押さえても、改変後の情報じゃ首魁に辿れないかもしれない。」


俺は、黙って3人の言葉を受け止めた。


室内の空気が重く沈み、時計の針の音だけが響く。


「まさか……あんたの案は、そこすらクリア出来るっての?」


後藤が恐る恐る尋ねてきた。


「そのまさかです。」


俺はゆっくりと立ち上がり、説明を始めた。


「まず、資源庁の到着が遅れる日を“Xデー”に設定します。通報で発動した強制保護の権限を使って、資源庁が現場に到着する前に証拠品を押収する。その後、解析した証拠とデータベースの差異を検証すれば、改ざんの有無を立証できます。」


俺の説明を聞き、山崎が頭を抱えた。


「佐藤主任……そんな都合のいい日があるわけないだろう。」


「ありますよ。4月29日です。」


「はぁ?ただの祝日じゃない!何でそんなこと分かんのよ!」


後藤が目を丸くして反応した。


「この日は資源庁によるデータベース最終確認の日です。」


俺は淡々と答えた。


「5月1日からデータベースを再利用するなら、4月30日は庁内テスト運用。よって、資源庁における最終目視確認は29日。つまり、資源庁の職員はその日、全員が本庁詰めです。」


中村がハッとしたように顔を上げた。


「なるほど……監査のために外部応援が出払う。だから、現場の対応が遅れる。」


「そうです。しかも今年は運用業務の請負先が変わった。」


俺はタブレットを取り出し、資源庁の公開入札情報を映し出す。


「今年度の資源庁システム運用を落札したのは『シスサポ社』。前年度の業者と違うため、監査対策で全作業ログを一年間アーカイブしなければならない。そのログを押収すれば、改ざん前後のデータを丸裸に出来ます。」


一瞬の静寂のあと、山崎が息を吐いた。


「佐藤主任……君は天才か、それとも化け物か。何度も言うようだが、本当に警大を出たばかりなのか……?」


山崎の畏怖の念を受け、俺は肩をすくめた。


「どちらでも構いません。目的は一つ。捜査を遂げ、罪を犯した者を司法判断の場に引き摺り出すことです。」


俺の言葉を聞いた後藤がため息をつき、椅子に背を預ける。


「あんたの言うとおりだね。確かに29日は狙い目だ。庁は絶対データベース優先、1日くらい外部通報の臨場を他の行政機関に任せっきりにしてもいいと思ってそう。」


「つまり、資源庁が目を離すたった1日の隙を突くわけだな。」


山崎が腕を組み直し、目を閉じて考え込む。


やがて、重く息を吐いた。


「……わかった。佐藤主任の提案を採用する。ただし、一つ条件がある。」


「条件ですか?」



俺は素直に疑問に思い、山崎の発言を待った。

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