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1/96〜男女比1:96の貞操逆転世界で生きる男刑事〜  作者: Pyayume
第三章「潜入」

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第24話「中村英子:潜入③」

「それでは、ヘッドセラピーから始めますね。」


ベッドに仰向けに寝た私の目に、蒸しタオルが乗せられた。


こめかみのあたりに、太陽のしっかりとした指が触れる。


一定のリズムで優しく動く指は、痛みも、不快感もなく、むしろ眠気を誘うほど心地よい。


女性は、男性に触れられる事で多幸感を感じるという知識はあったが、これは堪らない。


触られているのは頭だけだと言うのに、全身がぽかぽかし、下腹部が熱くなっているのがわかる。


「先ほどは失礼しました。お着替えのお手伝いを希望される方が多いので…」


そう言いながらも太陽は優しく施術を続ける。


「あ、いえ、私こそ少し恥ずかしくて、お気遣いありがとうございます。」


そう答えながら、指圧の強弱によって私の心拍や呼吸が変化しているのがわかる。


こめかみ、頸筋、肩。


少しずつ触れる範囲が広がっていくが、どの動作にも無駄がない。


まるで、私の快感の地図を正確に知っているような手つきだった。


「お体、だいぶお疲れですね。」


触れられる皮膚が、初めての感覚に喜び、局所的に熱を帯びていく。


「ええ、最近少し忙しくて。」


その熱が、全身の神経を駆け巡り、脳に快感の信号を送っているのがわかる。


「肩に力が入っていますね。緊張、されてますか?」


緊張はしているものの、触れられた箇所は程よい緊張と弛緩によって、言葉にできない快感を生み出していく。


「は、はい、初めてなもので、まだ慣れてなくて、すみません。」


会話でさらに緊張がほぐれた気がする。


施術はやがて肩から腕、足先、膝下そして太ももをゆっくりと揉み解していく。


その動きに合わせ、天井の照明がわずかに明滅した。


快感の波が疲れた身体に、子守唄のように響き渡る。


口の締まりに意識を割く余裕がなく、私の口元か糸の雫が伸びていく。


「これからお尻と背中を始めますが、力加減に注文があったら教えて下さいね。」


太陽はそう言うと太ももからお尻の付け根に向けて指圧を一撫でした。


さらにそのまま、おしりのほっぺに手を触れ、ゆっくりと揉み始めた。


こねくり回すわけではなく、柔らかい部分を押し回すような施術だ。


「…んあっ…ふぅん……ぁ」


私はこれまで自分で出した事のない声が出たことに驚いた。


我慢しようにも吐息と共に勝手に口から溢れてしまう。


私は気を抜かぬよう、呼吸を浅く整えたがそれも無駄に終わった。


太陽の指が私をなぞり揉むたびに、触られたところに快感が生まれ、連動して下腹部の奥が熱くなる。


「上、失礼しますね」


そう言いながら、太陽が私のお尻の上に座り、背中の揉みほぐしを始めた。


指が背筋に沿って滑る。


微かな電流のようなものが走り、体の奥で勝手に反応が起きる。


「ふぐっ……ふぅぅんん……はっぁ…」


息を整えようとしても、リズムが掴めない。


下腹部の熱が激しさを増し、それに抗うことができず、体が跳ねる。


私の身体は、施術が終わるまで何度も跳ねた。



施術は終わった時には、私は息も絶え絶えになって着替えるのもやっとだった。


太陽はタオルを畳みながら、光のない笑顔を向けてきた。


「本日はこれで終了です。お身体、少し軽くなりましたか?」


「ええ、とても……。ありがとう。」


「こちらこそ、ありがとうございます。こちら僕の名刺ですので、よろしければどうぞ。」


太陽はそう言って名刺を差し出し軽く頭を下げ、扉を開いた。


「名刺のQRから予約で指名料かかりません。なので、ぜひ、ぜひ、またお越しください。」



私はバッグを持ち、鏡の方をもう一度だけ振り返った。


微かな違和感、そう反射の奥で何かの影が動いた気がした。



外に出ると、夜の空気が頬を打った。


冷たいはずなのに、どこか現実味が薄い。


一瞬仕事というのを忘れるほどに、夢のような時間だった。


LUXEの入口を背に立つと、見えない目に背中を向けて立ち去るのが精一杯だった。

これで中村潜入話は終了です。

本日投稿予定の別視点の話を挟んだら、本来の佐藤視点に戻ります。

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