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1/96〜男女比1:96の貞操逆転世界で生きる男刑事〜  作者: Pyayume
序章「異分子」

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第2話「回想:始まりの記憶」

俺の人生は、正確には二度目の人生だ。


この"異常な世界"に生まれる前の俺は、佐藤悠真という名前の刑事、年齢は38歳で警視庁の警部だった。


俺が死んだ日のことは、今でも鮮明に覚えている。



東京の片隅、雑居ビルの裏路地。


雨が降りしきる深夜の殺人事件現場。


被害者は50代の男性、鋭利な刃物で胸を刺されていた。


血がアスファルトに広がり、雨に洗われながらも赤黒く光っていた。


「佐藤代理、お疲れ様です。」


「山村係長、お疲れ。状況は?」


「害の人定は特定済み。現場の状況から兇器による強殺かと。現場保全の人員はいますが、周囲の防カメの収集と聞き込み要員が足りません。」


部下の係長の報告に俺は頷きながら、現場の空気を肺に吸い込んだ。


「そうか。ちょっと増員の電話してくるよ。」


「お願いします」


俺はポケットからスマホを取り出しながら、被害者の遺体をじっと見つめた。


彼の瞳は開いたまま、空虚に夜空を映していた。


この仕事に慣れることはない。慣れたら終わりだ。


刑事として生きることは、残酷な現実と向き合い続けること。


だが、それが俺の選んだ道だった。



電話をするため現場から少し離れたところ、背後でかすかな物音がした。


俺は振り返る間もなく、鋭い衝撃が背中に走った。


「——っ!」



熱と痛みが同時に広がり、視界が揺れた。


犯人がまだ現場に潜んでいたのだ。


俺は膝をつき、地面に倒れ込む。


部下が叫ぶ声が遠く聞こえた。


「奴を追え!お前は救急車を! 早く!」


だが、俺の意識は急速に薄れていく。


最後に見たのは、雨に濡れたアスファルトと、被害者の遺体だった。


刑事として、事件を解決する前に死ぬなんて——悔しかった。


そして、すべてが暗転した。

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