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1/96〜男女比1:96の貞操逆転世界で生きる男刑事〜  作者: Pyayume
第二章「発 見」

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第12話「不審な動き」

中村と山崎の家族設定に不備があり、修正しました。(10/27)

「それじゃ、朝会するよー」


始業時間の鐘が鳴り終わると、山崎が声をかけた。


「先に連絡3つ。1つ目、うちの係を担当する管理官の配置はまだ先になるので、当面の決裁ラインは私、御厨みくりや理事官、竹村課長でよろしく。御厨理事官は午後にこっち来るみたいだから、みんなの紹介するからな。」


御厨理事官。昨日は会えなかったが、どんな人物なのだろうか。


「で、2つ目は健康診断が再来週あるから予診票準備しておいて。佐藤主任はうちで受けられないから気を付けてね。警大の時は警病の医師が学校に来てくれてたみたいだけど、今回から掛かり付けの定期健診に戻るみたい。」


この世界の男性は出生時から居住エリアごとに掛かり付けの病院を割り当てられ、基本的にはそこで検診や診察を受ける。


俺は、四年ぶりに自身の掛かり付け病院が「国立男性総合病院新宿」になっていたことを思い出した。


担当医は、メガネの女性だった記憶があるが、名前は思い出せなかった。


「最後は、国家生殖資源庁のデータベース再編作業が週末にあるそうよ。だから生殖特捜経由での男性情報の照会業務が来週から止まる。再編前後で検証作業も入るから、再開の目処は来月の5月1日になるわ。」


山崎が端末を操作しながら言った。


その言葉に、俺を含む係員たちの表情が固くなった。


国家生殖資源データベースの再構築とは、担当SPや精液ランクなども含む、すべての男性個体データが再チェックされるということに他ならなかった。


「それって警視庁ウチだけじゃなく、他官庁の業務も止まりますよね。それにしては急すぎません?」


中村が焦ったように問いかける。


「そうなんだよね。もう決まったことみたいだけど、根回しなしでここまで長く止めるのは珍しい。……しかも国家生殖資源庁から理由の示達は無し。」


「そうですか。何か言えないエラーでもあったんでしょうかね。」


中村はそう言うと肩をすくめた。


「話を戻すけど、照会できないのは致命的だよ。今日含めて四日以内に必要な調査は全部終わらせないといけないってこと?」


後藤が焦ったように机に身を乗り出す。


「そう。だから一応の緊急措置として、今日の午後から警部以上には国家生殖資源データベースへのアクセス権限が臨時付与されるらしい。……うちの場合、私の権限使うことになるわね。」


「それって決裁どうするんですか? 課長経由だと決裁待ちで進まないってことになるんじゃ……」


「一応、課長は事後承認で良いことになってるわ。ただ、用途と対象男性のリストは御厨理事官の事前決裁が必要で、そこがネックね。」


山崎が苦い顔で端末を閉じる。


「……理事官、今日の午後いらっしゃるんでしたっけ。」


俺がぼそりと呟くと、山崎が頷いた。


「ええ。こちらから佐藤と挨拶に伺うと言ったのに、なぜか特務捜査係うちに直接来るみたい。」


山崎はそう言いながら、心底面倒そうな顔をした。


「新設の係の執務室を直接見たいということですかね。」


「はぁ……どっちかっていうと、あなたの顔を見たいんじゃない?」


「なら、ついでに私から今後の捜査でやりたいこと説明しましょうか?」


「それは私の仕事。佐藤主任はニコニコして“元気で楽しいです!”って言ってもらえればいいわ。」


「そのくらいならできますけど。あ、ちなみに理事官はコーヒー派ですか?お茶派ですか?」


「分からないわね。後藤部長、とりあえずコレで茶器セットとお茶葉とインスタントコーヒー買ってきて。」


山崎はそう言いながら1万円札を後藤に差し出した。


「えっ、今からですか?理事官にお茶出すタイミングって……」


「来る前に慌てる方がまだマシよ。まだ人となり分からないし、コーヒーじゃないことで文句言う人もいるから。」


係内に、微妙な笑いが広がった。


そんな中で、俺だけは端末のカレンダーを開き、データベース再編予定日に小さく灰色の印をつけた。



何かが始まろうとしているが、それが緊急作業バグしゅうせいなのか定例作業《何かのこうさく》なのかは、まだ誰にも分からなかった。

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