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世界最強の実力

 俺は村を出た後、王都でなく都市ラービスへ足を進めた。

 村で数千の兵士を殺したところで、また新たな兵がやって来るだけだ。

 根本を断たなければ、意味がない。

 爺ちゃん、必ずソフィアを、あの村を守るよ。

 俺なりのやり方で。


「このお面を」


「あいよ」


 俺は屋台でありふれた子供用のお面を購入した。

 その後、都市の高台に登り、領主の館を観察する。

 見張りの位置、家の構造、魔法結界展開の有無。


 いくつも侵入していると、家の形を見るだけである程度構造すら予測できるものだ。

 うん。楽勝だな。

 隙だらけすぎる。

 あれじゃ泥棒ですら入れそうだ。


 毎日地獄のような日々だったけど、この力がないと俺は何もできない。

 この血塗られた力で、せめて大切な人くらい救おうか。

 俺は夜を待つ。


 深夜。


 領主の館は正門に二人、両面玄関に一人、裏手に二人、そして西側に二人。

 その西側の二階には魔法結界が張ってある。

 あれでは領主が居ると言っているようなものだ。

 この程度なら、アレを使う必要はない。


 不可視の外套(インビジブルコート)


 俺は全身を不可視にする魔法をかける。

 東側の塀を飛び越えると、そのまま木々に紛れる。

 そのまますぐに館の壁にまで辿り着いた。

 どこからでも入れるけど、ここが一番手薄だな。


 幻影の鍵(イリュージョンキー)


 開錠魔法である。

 一流の者が使うと、開かない鍵などない。

 一瞬で窓の鍵が開く。

 そして、俺は壁に触れる。


 万能地図(オールマッピング)


 脳内に、この館の構造が流れ込む。

 本来はダンジョンの地形を把握する斥候用の魔法である。

 だが、これは家など建物の構造を把握することにも使える。

 これは練度を上げると、建物内に居る生物の場所も同時に把握できる。


 ふむ。やはり、当たり前だが殆ど見張りなど居ないな。

 西側魔法結界が張ってある付近に一名立っているだけだ。

 自分が狙われているなど、夢にも思っていないのだろうな。

 俺は窓から屋敷に侵入すると、すぐさま二階の領主の部屋に向かう。

 一人の兵士が退屈そうに、欠伸をしている。


 水面の月(リフレクションムーン)


 この魔法は、対象者の認知を歪ませる魔法である。

 俺が目の前を通っても、扉が開いても何も起こっていないと錯覚させる。

 俺は堂々と兵士の前を通り、魔法結界も幻影の鍵で解除する。


 無音の夜(サイレントナイト)


 この魔法は周囲から全ての音を消す魔法である。

 これにより、対象者に気付かれることなく室内への侵入が可能。

 俺は寝ているホーキンス子爵の目の前に立つと、毒を作る。


毒精製(ポイズンクリエイト)麻痺(パラライズ)


 これは首以外全ての機能を麻痺させる神経毒である。

 これに目も一時的にぼやけさせる毒も混ぜる。

 これにより意思疎通は可能であるが、騒がせることなく交渉が可能。

 アスガルド内の上位の暗殺者は皆この魔法を覚える。


 勿論、毒殺用の毒も、であるが。

 精製した毒をホーキンス子爵の首元に垂らす。

 準備は完了。

 では、一方的な話し合いと行こうか。


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