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役に立てないな

 妙だな。村から魔力を感じる。

 この感じ……ロクサスの水魔法か?

 山で鹿を獲っていた俺は、どこか違和感を持つ。

 次の瞬間に、俺は走っていた。


「おいっ、レイル! どこへ!」


 叫ぶベン爺を置いて、俺は山を駆ける。

 来たのか? 

 気のせいであってくれ。

 俺はそう願いながら、山を下る。


 そして、村に到達した時、俺が見たのは貫かれて倒れているクリフさんの姿だった。

 初めて俺は動揺した。

 まるでその瞬間がスローモーションで、止まっているかと錯覚するくらい。


 俺は間に合わなかったのだ。

 ロクサスも死んでいる。

 あいつ等は時間を稼いでくれたにも関わらず、俺は無能で、間に合わなかった。

 ただ、動揺して近くに駆け寄り、手を握った。


 まだ生きていることを感じたかったから。

 けど、その手は既に体温を失いつつ合って、死が近いことを感じさせる。


「……レイルか?」


 クリフさんがそう呟く。


「……ごめん、なさい、クリフさん。俺は……」


 それしか出なかった。


「心配かけて、すまんのう。少し、年寄りなのに、頑張り……すぎたわい」


 とクリフさんが笑いながら言う。


「喋らなくていいよ。すぐに村医者を呼んでくるから……待ってて」


「お前も分かっておるじゃろう……もう助からん」


「そんなの嘘だ!」


 俺は初めて感情的に怒鳴る。

 気付けば、目から涙が溢れていた。


「ふふ、レイルもやっぱり……まだ、子供じゃのう」


 そう言って、クリフさんは俺の頭を撫でた。


「お願いだから……生きてよ。もっと、これから色々教えてくれるって、言ったじゃないか!」


「そうじゃ……教えてあげたかったのう。レイル……お前にこんなことを頼むなんて駄目と分かっておる。分かっておる上で……どうかソフィアを、村を……頼む。すまない……ただの子供で居させてあげたいと言っておいて……」


 その目には涙が溢れていた。


「大丈夫。大丈夫だよ、爺ちゃん。俺が……ソフィアを、この村を守るよ。お爺ちゃんが大好きなものを」


「ふふ……最後に、爺ちゃんと言うてくれるのか。嬉しいのう。二人目の孫が……できてしまったわい」


 爺ちゃんは最後にそう言って微笑んで、そして力を失った。

 爺ちゃんは、俺の目の前で亡くなった。

 俺が間に合わなかったから。


 俺は今すぐ自分の全身を引き裂きたかった。

 誰か俺を罰してほしかった。

 けど、今はその時じゃない。


 やるべきことがある。


 爺ちゃんが愛したソフィアを、この村を守らないと。

 この穢れた手で。


「ごめんね、ソフィア。あの約束は守れなかったよ」


 俺は再び『死神』に戻る。

 俺はやっぱり殺すことでしか……役に立てないな。


お読みいただき、ありがとうございました!


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