暗雲
「五月蠅いのう。すぐに済むから、あの小屋に向かうぞ」
ハビエルは剣をアランから抜くと、レミの口を塞いで、小屋に引き摺りこもうとする。
「た、助け……」
だが、それはアランが認めなかった。
「レミを……離せえ!」
アランはそう言って、背後から剣を振るった。
ハビエルはそれをなんとか受け止める。
「貴様ァ……! たかが村人が俺に剣を振るっていいと思っているのか! 今すぐ殺してやる」
ハビエルは怒りで顔が真っ赤になりながらも応戦する。
「絶対に……今度こそレミを守るんだ!」
アランは腹部から血を流しながらも、必死で戦う。
(ああ……怪我が結構重い……このままじゃ倒れそうだ。けど、次こそはレミを守る! そのために鍛えてもらったんだ!)
アランは自分より長く剣を習ってきたであろうハビエルと互角以上に戦った。
(こ奴……たかが村人の割に剣を使える!)
「おい、お前達、助けに来い! 村人がこの俺に逆らいおる!」
とハビエルが大声で助けを求める。だが、誰も来ない。
アランの連撃により、ハビエルの体勢が崩れた。
「やあああああああああ!」
その隙にアランは大声で叫びながら、渾身の振り下ろしを叩きこんだ。
その一振りは確かにハビエルを捕らえ、その右腕を両断した。
「ぎゃあああああああああああああああああああああ!」
ハビエルの絶叫が村中に響き渡った。
その絶叫を聞き、多くの者がその場にかけつける。
「ハ、ハビエル様!?」
取り巻きの護衛二人もすぐにその場に駆け付けた。
そこには片腕を切断され、涙を流す主の姿があった。
すぐ側では泣くレミ。
誰もが状況をすぐに察した。
この馬鹿がレミに手を出して、やられたのだと。
「こいつを、今すぐ殺せェ!」
「ま、まずは手当を……!」
村人達は皆、ハビエルを睨みつけている。
「状況はレミとアランに聞いた。帰ってくれ」
村長ははっきりと護衛に告げる。
「き、貴様ァ! この俺にそんな態度をとって、ただで済むと思っているのか!」
「儂には村人を守る義務がある。帰ってくれ」
「一旦帰りましょう、ハビエル様」
「このォ……このことは忘れんぞ! 必ず復讐してやる……!」
ハビエルは腕を抑えながら、護衛に連れられ村を去って行った。
「村長……こりゃあえらいことになったな」
クリフが頭を掻く。
「分かっておる。次期領主を斬ったのだ。ただでは済むまい」
村長もため息を吐く。
「僕達のせいですみません」
村医者の手当てをその場で受けているアランが頭を下げる。
「事情は聞いた。お前達は何も悪くない。だが、どうするべきか」
村人達の顔色が曇っていく。
お読みいただき、ありがとうございました!
少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、
『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると嬉しいです!
評価ボタンはモチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!





