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これがいい

 翌日、農作業を手伝っていると、ソフィアがこちらにやってきた。


「聞いたわ。ロクサス達を殴ったんですって? それって……私のため?」


「ああ。ソフィアがあの服を大切にしていたのは知っていた。それを思うと、体が動いていた。結果的に、関わらないという約束を破ってしまった。すまない」


 俺の言葉を聞いたソフィアの顔が少しだけ紅潮する。


「そう……なんだ。いいわよ、そんな約束。昨日の夜はとっても辛かったんだけど、それを聞いて凄く嬉しかった。ありがとう」


 約束は破ったのに、いいのか。

 人間社会は難しいな。

 俺は首を傾げた。

 畑仕事を終わる頃、再びロクサス達が現れた。


 前と違うのはロクサスは無精ひげを剃り、髪も後ろに縛っている。 

 しつこいな。

 殺さないと、こういう時面倒なんだよな。


「アンタ達、まだ懲りてないの?」


 ソフィアが不快そうな声色で言う。


「違う、そうじゃないんです! 二人とも、申し訳ありませんでした!」


「「申し訳ありませんでした!」」


 ロクサスが深々と頭を下げると、合わせて背後の二人も頭を下げる。


「どういうつもりだ?」


「いや、レイルの兄さんにやられて目が覚めました。お詫びになるとも思っておりませんが、お詫びの品です」


 そう言って渡されたのは、新品のワンピースだった。

 前と同じような純白であり、ここら辺では売ってない物であることが分かる。


「こんな物で誤魔化されると思ってんの?」


 ソフィアが睨みつける。


「おっしゃる通りです。許してくれとも言いません。レイルの兄さん、これからは真面目に働きますので、どうか村に居ることを許してくれませんか?」


 許すもなにも俺が決めることじゃないだろ、としか思わなかった。

 強く蹴りすぎたのだろうか?


「二度と人に迷惑をかけるな」


「「「はい、分かりました! 失礼します!」」」


 そう言って深々と頭を下げると帰っていった。


「怖いくらい態度が違ったわね。冒険者ってのは、明らかに自分より強いとああなるのかしら?」


 ソフィアも首を傾げる。


「まあ、どうでもいい。服、手に入ってよかったな」


「あんな奴からの服か、とも思うけど服に罪はないわ! 前の服より上等な服、よく手に入れて来たわね」


 ソフィアは文句を言いつつも、服に罪はないと割り切ったらしい。

 その日以降、ロクサス達はすっかり大人しくなった。




 ロクサス達がおとなしくなってから、客足も戻った酒場に通常通り卸すことができるようなった。

 そして季節も廻り、冬も顔を出し始め少しだけ寒くなってきた。


「くしゅっ」


「なんじゃ、レイル。くしゃみをしておるな。寒いんか?」


 夕食を終え、三人でのんびりとしていると、くしゃみが出てしまった。


「いえ、大丈夫です」


「村の寒さは凄いわよー。あんたに耐えられるかしら?」


 とソフィアがからかってくる。


「それはいかんなあ。これは儂が着ていたいたものじゃが、着るとええ」


 そう言ってクリフさんは分厚い毛皮でできたファーを持って来てくれた。


「レイルも新しいものがいいんじゃない?」


「それもそうか。また商人がここに来た時に買えばええ」


 だが、俺はそのままクリフさんのファーを受け取る。


「いや、これがいいです……」


 ソフィアが言う通り、新しいものの方がいいに決まっているのに、なぜか俺はこれが良かった。


「無理せんでええぞ? 上着くらい買う金はある」


「いや、クリフさんからもらったこれがいいんです」


 俺は早速そのファーを羽織る。

 使い込まれているが、どこか暖かい。

 そして、なぜか安心するのだ。


「いいんじゃない、お爺ちゃん。レイル、嬉しそうだし」


「そうか。また新しい物が欲しかったら言うんじゃぞ。これから、冬になる。色々また教えてやらんならんのう。知らんことばかりじゃからのう」


「教えてください」


 この服があれば、冬も越せる気がした。


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