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私用で

 ソフィアが酒場に入り一番に思ったことは、更に人が減っているであった。


「あら、ソフィアじゃない」


 暇そうにしていた看板娘のアミラが立ち上がる。


「どう似合う?」


 ソフィアが自慢げに言う。


「あんたにはもったいないくらいの服ねえ」


「素直に褒めなさいよー。新作よ!」


「はいはい。似合ってるわよ。ここ座りな」


 アミラがソフィアを席に座らせる。


「ビーフシチューをお願い」


「はいよ」


 少しして熱々のビーフシチューが出てくる。


「ねえ、あんた。最近魔法の訓練しているんだって?」


 暇なアミラが、食べているソフィアに話しかける。


「うん。どんどん上達していって楽しいの!」


 と楽しそうに返す。


「おとなしく農業しておきなさいよー」


「なによー。私が凄くなるのが、羨ましいんでしょ。必ずアダマンタイト級の冒険者になって見せるわ!」


 ソフィアがそう言った瞬間、何かが机を叩く大きな音が酒場中に響く。


「あ? 今寝言が聞こえてきた気がするが……。何になるって?」


 そう言ったのは奥に居たロクサスだった。


「あんたには関係ないでしょ。人の話に勝手に入ってこないでくれる?」


 ソフィアが不快そうに言う。


「関係なくはねえだろう。冒険者として、冒険者が舐められたら商売あがったりだ」


 そう言ってロクサスは立ち上がると、ソフィアの元へ歩いていく。


「なにが商売あがったりよ。たいしたことしてない癖に。今も迷惑しかかけてないじゃない。さっさと酒場から出て家に帰りなさいよ」


「ハハハ! 随分威勢がいいな。あの腰抜けに師事しているとは思えん」


 ロクサスは馬鹿にしたように言う。


「腰抜け? レイルのこと? レイルはあんたみたいに田舎で威張りちらしている冒険者より、よっぽど強いわよ! 撤回しなさい!」


 ソフィアはロクサスを睨みながら、はっきりと言い切った。


「てめえみたいなくそ雑魚が、俺に指図するんじゃねえよ!」


 ロクサスはそう言うと、ソフィアの食べているシチューの皿を掴むと、そのままソフィアに頭からかけた。


「きゃああ!」


「なんてことをするんだ!」


 アミラも、店主も叫んだ。

 ソフィアは自分の新品のワンピースがどろどろに汚れてしまったのを見て、歯を食いしばる。


「この……!」


 ソフィアは右手にロクサスにめがけて翳す。


「師匠と弟子共々お似合いだぜ! やるのか? 最近、魔法を覚えて粋がっているようだが、お前の火球は俺に届くかな? 少しでもミスれば、この酒場が火の海になるぜ?」


「ぐっ……」


(この男も確か魔法使いだったはず……私の火球でアミラ達に迷惑をかける訳にはいかないわ……)


「俺は……お前のような現実を見れていないガキが一番嫌いだ」


 ロクサスがそう言うと、ソフィアが突然首を押さえ苦しみ始める。


(息が……できない! お、溺れる!?)


 突如呼吸ができなくなったソフィアが倒れ込む。


「ハハハ! 抵抗すらできない雑魚が……なにがアダマンタイトだ」


「ゲホッ! ハアッ……! ハアッ!」


 気を失う寸前で、なんとか呼吸できるようになったソフィアはなんとか立ち上がる。


「とっとと失せろ。死にたくなければな」


 ロクサスが椅子に座りながら、嘲笑うように言う。


 ソフィアは涙が溢れそうになるのを堪え、金を置いて去って行った。


(畜生……畜生……)


 ソフィアは自分が情けなかった。


 ◇◇◇


 俺は夕食を終え、のんびり皿を洗っていた。


「ソフィア、どうしたんじゃ!?」


 クリフさんの大声に反応して、後ろを向くと、そこには食べ物をかけられどろどろになったソフィアが居た。

 綺麗な純白のワンピ―スもすっかり茶色く染まっている。


「間違って、こぼしちゃったの。少し体洗ってくるね」


「こぼしたって……そんな風にはならんじゃろ……」


 クリフさんは驚きが隠せていない


「ごめん……」


 ソフィアはそう言って、自室に戻っていく。

 その目からは、涙が溢れていた。

 ソフィアの口元から、魔力の残滓を感じる。


 あいつか……。

 俺は無言で、家を出ようと扉を開ける。


「おい、レイル! どこに行くんじゃ」


「私用で」


 俺はその足で、すぐに酒場に向かった。


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