お気に入りの
俺はいつものように鹿を狩り、酒場に卸しに行く。
最近はソフィアも個人訓練が増えたため、狩りをする時間が増えたからだ。
ソフィアが魔法使いに転身したことを知ったアランは素直に魔法を使えることを称賛していた。
酒場に入ると、いつもより酒場が静かな気がした。
「おお、レイル。いつもありがとうよ。実は……いや、なんでもねえ。これは受け取っておくぜ」
といつものように鹿を受け取り、金を渡される。
「たまにはレイルも飲みにきな。サービスするぜ」
「分かった」
そう軽くやり取りしながら、俺は酒場を出る。
酒場の雰囲気にどこか違和感を覚えながら、そのことをソフィアに話す。
「ああ……最近、酒場を利用する人が減ってるってマスターが嘆いていたわね。駐在の冒険者達が荒れているらしくて、皆家に籠っているのよ。レイルも関わっちゃ駄目よ。馬鹿が移るわ。無視しなさい」
「分かった」
「そんなことより、気付かない?」
とソフィアが嬉しそうに尋ねてくる。
ん?
魔力が増えたとか?
いや、そんなに変わっていないな。
悩んでいると、ソフィアが呆れた顔をした。
「服よ、服! 凄いでしょ、新品のワンピースよ!」
そう言って、ソフィアは仕立てたばかりの白いワンピースの裾を摘まみながらくるりと一回回る。
確かによく見れば今までの服より格段に生地もよさそうに見える。
都市の方にいかない限り、新品の服など販売もされていないし、新品の服は金持ちしか買えないのだ。
庶民は中古の服を貰うか、自分で仕立てるくらいである。
「似合うでしょー! このために一年以上お金貯めていたのよ! 王都でも流行っているお店の品なんだから!」
と幸せそうに笑う。
確かに、赤い髪に白いワンピースが良く映える。
「確かに、似合っているな」
「気付かなかった癖にーーー」
と言いながらもご機嫌である。
それにしても、酒場の利用者減っているのか……心配だな。
俺は数日後、狩りの仕事を終えた夜、酒場へ入る。
入った瞬間、人が減っているのが分かった。
いつもは夜、八割程度席が埋まっているが、今は数席しか埋まっていない。
「お、レイルか。お前が一人で来るなんて珍しいな。好きな席でいいぞ」
「たまにはな」
店主と軽く話した後、俺はカウンター席に座る。
「なに食うんだ?」
「肉で」
「野菜も食えよ。肉団子のスープにしてやる」
店主が手際よく肉団子のスープを調理して、前に置かれる。
前に食べた時より、肉の量が少し多い。
「……ありがとよ、レイル」
ぼそっと、店主が言う。
「俺の仕入れ先ここだけだから、潰れられたら困る」
「おい、そっちの心配かよ!」
店主と話ながら、スープを食べる。
「お前が、レイルか。最近調子がいいらしいな」
すると背後から声をかけられた。
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