おやすみ
「森でパラミが獲れるのは、おそらくこっちだ。だが、お前……勝ちの目はあるのか?」
ベン爺さんが心配そうに尋ねてきた。
「大丈夫ですよ、多分」
ハイランドグリズリーの強さは全く知らないけど。
「多分って……お前。勝てそうにないなら、お前を引っ張って無理やり逃げるからな」
俺の耳が、何か大きな獣が森をかき分けて進む音を聞き取る。
「ベン爺さん、あっちにパラミはない?」
「……確か、あっちにもあった気はするな」
「あっちに出ました。俺、先に向かいます」
「おい、俺を置いて……速いなお前!」
叫ぶベン爺さんを置いて、俺は先を急ぐ。
すると、ハイランドグリズリーがアランと相対している所を見つける。
間に合ったか?
そう考えていると、アランが吹き飛ばされる。
できれば、背後から狙いたかったが、仕方ないな。
俺は矢を番えながら、距離を詰める。
そして、放った矢はハイランドグリズリーの手を貫いた。
「ガアアアアアアアッ!」
熊の絶叫が聞こえる。
大きいなー。
酒場に持って行けば、いくらで売れるかな。
そもそも美味いのか?
ベン爺さんは解体方法知っているのだろうか。
そう色々考えていると、ハイランドグリズリーがこちらを充血した目で睨みつけている。
「正面からの戦いは好きじゃないんだけど」
姿を見られる戦いなんて、暗殺者失格だ。
素人同然。
「命が狙われていることも、命が失われたことすら気付かせないのが、一流だ」
いや、俺はもう暗殺者じゃないから、いいのか。
「ギャアアアアアアアアアア!」
叫び声と共に、ハイランドグリズリーの爪がこちらに襲い掛かる。
俺はその一撃を躱すと、その腕に乗る。
そして、すぐさまその腕を駆けあがりハイランドグリズリーの頭部にまで距離を詰める。
「おやすみ」
俺は愛刀で、ハイランドグリズリーの首を一閃。
胴体と顔が離れた瞬間、ハイランドグリズリーの全身は力を失ったように、地面に倒れ込んだ。
「ハ、ハイランドグリズリーを一撃で……⁉」
アランが小さく呟く。
「戻ろうか、アラン」
「あ、ありがとう……」
アランは安心したのか、気を失った。
するとすぐ、ベン爺さんがこちらにやってきた。
「お、お前……もう倒したのか? しかも首を一撃じゃねえか。どうやって……」
ベン爺さんは驚愕の表情でこちらを見つめている。
「首を斬ったら、死にますよ。肉が駄目になる前に解体しましょう」
「そりゃあ、そうだがよお。まあいい、よくやった! お前は凄い! それだけが事実だ!」
ベン爺さんはそう言って、俺の頭を乱暴に撫でる。
「熊持って帰りましょう。いや、でもアランもか?」
「アランを先に連れて帰るぞ。ハイランドグリズリーは後で解体してから持って帰る」
「分かりました」
アランを背負い、村へ戻る。
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