18話 『記憶の復活とフライパンの謎』
第3層突入
放課後。コンビニ裏の路地にて。
「なあ、アコウ。何で放課後にわざわざ裏路地で待ち伏せしてんの? ストーカーか?」
「ちっ違う! 今日こそ第3層に行くの! ミコト、同行決定!」
「……そもそも私は第1層すら踏んでないんだけど?」
「いやいや! 第2層で突然出てきたじゃん! しかもなんかドヤ顔で短剣振り回してたじゃん!」
「は? 私そんなファンタジー参加した覚えないし!」
「無許可で勝手に入ってきたくせにっ!」
「はあ!? 不法侵入はそっちじゃん! コンビニの裏で何してんだよって話だし!!」
口げんかをしつつ、アコウはミコトの腕を引っ張る。空間が揺れ、例の階段が現れた。
「うわ……マジであるんだ、この異空間……」
「そうでしょ!? よし、さあ第3層へゴー!!」
第3層 ――記憶の復活と謎の調理器具
石造りの階段を下り、広がる新たな空間。足を踏み入れた瞬間――
「っ……!?」
ミコトが頭を押さえた。
「アコウ、ちょっと……なんか、今、ビリって……頭の奥で何かがッ……!」
「来た!? 記憶、来た!?」
「うおおおおお!? 思い出した! 私! ダンジョン入ってた!! ていうか勝手に引き寄せられて、気づいたら第2層で短剣握ってたー!!」
「やっぱり!! 言ったじゃん!! ね!? 私、正しかったよね!!?」
「いやそれよりも!! ちょ、なんで!? 私の武器、フライパンなんだけど!? ていうかアコウもじゃん!?」
「うわホントだ!?」
二人の手元には、金属の光を放つ――
フライパン。
「おい、これ料理番組かよ!?」
「ユウのメールに、“第3層は認識の干渉が発生する可能性があります”って書いてあったけど、そういうこと!?」
「干渉でフライパン!?」
「でも……なんか手に馴染んでる……構えやすい……」
「……アコウ、それヤバいやつのセリフだよ?」
「むしろ“叩くと火力UP”とかあるかも……」
「火力って料理の意味じゃなくて!? バトル用!? え、強化スキル付き!?」
(カーン!)
アコウが床を軽く叩くと、澄んだ金属音が響いた。妙に頼れる感触。
「……フライパン、意外といけるかも……」
「やめろ。フライパンに希望を見出すな」