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第14話 『通学路』

アコウの登校日記 – 満員電車と夢の狭間で

朝。

アコウはベッドの中で、布団という名の異世界に囚われていた。

「……起きたくない。現実、ダンジョンよりこわい」

昨日の記憶――現実離れした地下の異空間と、狐耳?キツネ?――が、

うっすらと脳裏をかすめる。

「いやいやいや、アレは夢。多分、夢……だよね?」

つぶやきながらスマホを見ると、時刻は7時38分。

「……え、電車8時2分。駅まで12分。私の所要時間、0分。無理ッ!!」

一気に目覚める。

制服を着ながらトースト咥えて家を飛び出すという、伝統的JKフォームが完成。


駅に到着、ホームには人の波。

そしてやってくる――

「はい、今日も元気に、地獄の鉄の箱ァァァ!!」

ラッシュの電車、満員確定。

「……詰め合わせ弁当かよ私たち」

なんとか乗り込む。背中におじさん、正面はスマホに夢中な大学生、横は寝てるOL。

「……あの、この構図、自由な空気ゼロなんですけど」

吊り革も持てず、押されて壁にベターッと張り付く。


次の駅で、アコウの目前にちびっ子が乗ってきた。

その子、ぬいぐるみをぎゅっと抱きしめてる。アコウと目が合う。

「……おねーちゃん、なんか……つかれてる?」

「……えっ!? 今、私から“疲労”出てた!? 視覚化されてる!?」

ちびっ子は「夢見てない顔してるよ」って続けた。

「え、こわ!?」

「なんで今そんな鋭いセリフ言えるの!?」

思わず小声で叫んだ。


電車が揺れて、ガクンとバランスを崩す。

頭が壁にゴチン。

「っつぅ……」

(……あのちびっ子、もしかしてダンジョン関係者!?)

一瞬、本気で疑うほどには疲れてる。


学校の最寄り駅でようやく降車。

人混みをかき分けて改札を抜けた瞬間、心の声が漏れる。

「……まだ戦いは、始まってすらいない」


教室に着く。

ミコトがすでに席についてて、アコウの姿を見るなり声をかけてくる。

「……目の下のクマ、すごいよ」

「うん、今朝ラストダンジョンから帰ってきたの」

「えっ、寝不足って意味じゃなくて? 本当に?」

「たぶん寝不足……にしたって酷くない?」

「うん……ていうか最近、現実と妄想の境目ヤバくない?」

アコウ、自分でもそう思う。

でも――ふと思う。

(あの夢みたいな体験のあと……少しだけ、学校がつまらなくなくなったかも)


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