狐と寅に睨まれた犬
朝陽目線の物語です。皆さんお待ちかねのあの人が登場します。
俺の名前は戌城朝陽。俺の幼馴染みの岬が明頼大学附属宗歴高校。通称宗歴に転校してきて一週間が経った。
今、なぜか分からないけど岬と杏が言い争いをしてて、夜半が遠目で眺めてる。いや、止めろよ。
「は?」
岬がキレてる。
「はぁ、物分かりの悪いやつに教えんのは疲れるなー。俺くらいになれば余裕だよ。こんな数式」
杏も杏で煽ってる。こういうとき素直に謝ればいいのになー。
「いや、教えてくれんのはいいんだよ。ただな、うっさいの。今、暗算してたわけ。分かる?」
俺には分かる。たしかにうるさい。
「わかんねー」
杏が椅子にダラーっと座りながら言う。
「うわ、うざい」
あっ、岬が喧嘩腰になった
「は?誰がうざいって?」
ほんと杏やめとけよ!
「お前だよ。木寅杏。それ以外いるかよ」
岬の翡翠色の瞳がギラっと光った。夜半はまーだ遠目で見てる。ほんとに止めてよ。
「まあまあ、二人とも落ち着いて」
俺が止めに入ると
「朝陽はどっちの味方?」
二人が揃って言う。
「そうだ。幼馴染みなんだから私だよねー。木寅うざいよね!」
岬がいつもはしない可愛い笑顔で微笑みかけてくる。
「は?お前らの幼馴染みの仲良しより、一年生の頃、いろいろしたんだからな俺らも!」
木寅は肩を組んでくる。めんどくさいことに巻き込まれた。夜半に助けてと視線を送ったが、いつもの神々しい美しい微笑みを浮かべてスッと目を反らした。うわ、こいつ本当にめんどくさいと思ってる。ていうか、一週間で、岬も杏も喧嘩するほど仲がいいという言葉に相応しいほどに、仲良くなっている。岬がこんなに早く馴染むとは思わなかった。というよりこの地獄から抜け出したい!助けて!
「おや?どうかした?朝陽くんも大変だね。杏くん。女の子と喧嘩なんてらしくないね。いつもかっこいい杏くんが台無しだよ。そこの可愛い君が稲村岬ちゃんかな?私は猫田奏だ。これからよろしくね」
にこやかに現れたのは奏だ。よかった助かった。
今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。まだまだミスも多いと思いますが、暖かい目で見守ってください。これからもよろしくお願いします。