新居と三毛猫
岬はこれから暮らす寮へ!最後にある人物が登場!お楽しみに!
そこから少し歩くと、蔦の絡まる赤レンガの建物が二棟、渡り廊下で繋がっているのが見えた。明治時代に建てられたという歴史を感じさせる佇まいだ。
「こちらが女子寮になります。現在、猫田さんと三年生、そして一年生はまだ来ていませんので、ここで暮らすのは稲村さん一人だけです」
澤巳先生はそう説明した。まさかの女子一人。さすがの私も、心細さを感じずにはいられない。
「隣の建物が男子寮だから、いつでも遊びに来いよ!」
朝陽は、こういう時でも気を遣ってくれる。幼なじみがいるというのは、本当にありがたい。女子寮の中に入ってみると、外観とは裏腹に、内装は明治のモダンな雰囲気を残しつつも、トイレやキッチン、風呂などの共用設備は清潔で近代的だった。
「俺、初めて女子寮に入った」
木寅は、目をキラキラと輝かせながら言った。
「猫田は、絶対に俺たちのこと入れなかったからな」
辰井も、どこか感慨深げに呟いた。
「こちらが、稲村さんのお部屋です」
案内された部屋は、一人で暮らすには十分すぎるほど広く、既に私の荷物が運び込まれていた。
「……女子部屋、広くね?」
木寅が、ぽつりと呟いた。
「おう」
朝陽が相槌を打つ。
「そうだな」
辰井も、納得したように頷いた。
「さて、教室へ行きましょう」
澤巳先生は、にこやかに促した。
「でも……澤巳っち、これはさー。ちょっと不公平だと思います!」
木寅が、遠慮なく異議を唱えた。
「何か文句でも?」
澤巳先生は、笑顔のまま、有無を言わせぬ恐ろしいオーラを漂わせた。
「すみません!」
なぜか、朝陽が反射的に謝った。
そこからさらに歩くと、まるで聖域のように十二本の大木が円状に立ち並び、その中心に建物があった。教室に入ると、五つの机が整然と並べられている。自分の席に着くと、
「では、これからよろしくお願いします」
澤巳先生は、いつものようににこやかに言った。
「よろしくお願いします!」
みんなで声を揃えた。
「ふぅ、やっと終わったかな?」
真夜中の都内の廃ビルの屋上に風が吹き抜け、三毛猫のような特徴的な長髪がさらりと揺れる。目の前には、闇に獣に宿られた外れ者の男がぐったりと倒れている。心が弱いとはやなこった。殺すという選択肢もあるが、私たちまだ学生には、その重責を負う力はない。だから、この男を本部に連行し、処遇を委ねなければならない。そのためには、「白川夜船」という眠りの呪文を使い、大人しくさせる必要がある。実に面倒くさい。けれど、仕方ない。私は、黒子の一族の一つ、猫族の猫田奏なのだから
読んでいただいて本当にありがとうございます。感謝しかありません。間違いがあったらすみません。猫田を登場させてみました。これから続々登場させていきたいと思います。是非これからも読んでいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。