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まだ見ぬ世界  作者: 冒険家
1/1

プロローグ

「うわああああああああああああああああああ!!!」

 静かな村、クリア村に叫び声が響き渡った。

 叫び声の主は――神無一夜 (かみなしいちや) という珍しい名前の七歳の少年である。

 叫び声の原因は村一番の暴れ牛に乗っているからに他ならない。

「たたたたたぁすけてぇえええ!!」

 牛の角をキツく握り締めながら叫び声を上げる。

 牛が上下に動くたびにガクガク視界が揺れる。

「やばっ! 家だ!」

 住宅地に暴れ牛が乗り込む。

「止めろお前! マジで止めろおおおおお!!」

 叫び声が聞こえたのか住人達がドアを開けてきょろきょろと辺りを見渡し、牛を見て硬直した。

「わあああああッッ!?」

 ゴガアン! 牛が民家に突っ込んだ。

――――――――

「あの、スミマセンでした」

 クリア村唯一の酒場で一夜は正座で説教を受けていた。

「何やってたの!?」

 突っ込んだ民家の主婦マーガレットが詰問する。

「あの、暴れ牛ごっこを」

「暴れ牛ごっこぉ!?」

「おう! すげえ楽しいんだよ! オバサンも一緒に――」

 瞳をキラキラさせて言う一夜にマーガレットは頭を痛めたように手を当てる。

「俺が直そうか?」

 横合いから声をかけたのは人の良さそうな顔をした冒険家――ギルバート。

 眉にかかる程度の金髪に絶対に外さないローブを着た二十代の男である。

 三日前からこの町を拠点にして髑髏洞窟を“冒険”している。

 中にはお宝があるのだとか。

「直せるのか!?」

 マーガレットより速く食いついたのは一夜である。

「当たり前だろう? 何たって冒険家だぜオレは」

 いや答えんなってねえよ! 仲間達とマーガレットは同時に心の中でつっこんだ。

「ま、見てな」

――――――――

 木の壁に大砲でも打ったような大きな穴が出来ていた。

「見てな」

 ギルバートが片手を上げる。

 ふわり、と一夜を乗せた暴れ牛に壊された家の木片が浮かび上がった。

「あれが、魔法……!?」

 一夜は目を輝かせて見る。

 家の大きな穴に木片がジグソーパズルのように埋め込まれていく。

 そして、ギルバートは得意気に言う。

「どうだ?」

「すげえぇええええ! 俺にも教えてくれよ魔法!」

 一夜はギルバートのローブを引っ張って頼む。

「魔法ってな、お前。覚えんのはすげえ大変なんだぞ? この魔法だって数年かかって会得したんだからな」

 面倒くさげにあしらうギルバートに一夜は言う。

「俺だって冒険家になりてえんだ!」

 ギルバートはがはははは、と武将のような笑い方をする。

「今からならまだ間に合うかもな」

「じゃあ――」

「一年だ! 一年たったらここら辺りも冒険し終わるしな。後はお前が何とかしな」

――――――――

「こんなんで魔法出来んのかよ」

 と愚痴りながらリンゴに手をかざす。

「ふ~ん。それで魔法が出来んのか?」

 酒場の店主であるラムじいが疑わしそうに言う。

「ああ、こうやって手に魔力を集めて動けって念じりゃ出来るんだってさ」

「ほう。魔力ってどうすりゃあ集めれんだ?」

 一夜はギルバートの説明を思い出してみる。

『普通の奴なら魔法は一種類が覚えるのは限界だな』

『なんでだよ!』

『時間が莫大にかかるんだよ。例えばさっき使った物を動かせる念力だが……物に向かって動けって念じなきゃならない。成果が出るには三年は必要だぜ? 魔力を手に溜めるコツを知るのだって一年はかかるな』

『そんなに!?』

『それに魔法の才能のない奴とか念力の魔法の才能のない奴は一生かかっても出来ない。まあ、あれだ。魔法を使えない奴が多いのは何かの魔法が使いたいって思って難しい魔法を選んで失敗したり、忍耐力が弱かったりするのが理由だな。……ってオイ! ヒートしてやがるコイツ!』

 そこまで思い出して、

「言ってねえ……コツがどうとかしか」

「コツってのは自分で掴めって言ってんじゃねえのか?」

「自分でか~」

 そう言って、リンゴに意識を集中させた。

一夜が会得する魔法考えてくれませんか?感想の方にお願いします。

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