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第六話
「いやー。絶品だったなぁ。あんな美味しいコロッケ食べた事ないな」
「うるさい」
俺が食べれなかった事を良いことに、これでもかと煽る忠光。
「あー。美味し・・・って、おい!」
「等価交換だ」
忠光が食べいた途中のパンを奪い取って食べた。が、明らかに取りすぎだと言われ、こちらのおかずをまたあげる事になってしまった。
食い物の恨みは恐ろしいのだ。
そんな、たわいものないやり取りをしていると。
「一緒にお昼食べてもいい?」
莉奈が話かけてきた。
「俺は別にいいけど」
返事をしつつ、忠光の方をチラリと見る。
忠光はいきなりなんで?という顔をしつつ、少し黙って考え込み何かに気づいた様だった。
「(もしかして、莉奈の好意に気付いたのか?)」
「あー。俺、邪魔だよな。向こうで食べてくるな」
違う!!
「じゃあ」
「おい。待っ・・・て・・・」
そそくさと自分の食べ物を持って忠光はどこかに行ってしまい、莉奈と二人でご飯を食べる事になった。
ドキドキ大作戦第一弾失敗である。