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第五話
「お昼食べようぜ」
教室の一角で忠光を誘ってお昼を食べる。
作戦通り。この後、莉奈が声をかけてくる。
「冬也。今日は弁当か。いいな」
羨ましそうに俺が持つ弁当箱を見ながら、忠光は購買で購入したパンに噛り付く。
今朝、俺の部屋を出たすぐに、ちょこんと弁当が置かれていた。気付かなかったら蹴飛ばしてるぞ。と思いながら弁当を鞄へと入れ、家を出た。
「いいだろ。今日は用意してくれてたみたいで・・・さ?」
弁当箱を開けて固まってしまった。
「(なんか。茶色な)」
白米半分に、からあげ。コロッケ。ハンバーグ。ミートボール。・・・と、全体的に白5:茶5の弁当になっていた。
「どうした?う。凄いな。お前んとこのおかずは。何かくれよ」
「・・・あぁ」
コロッケをひょいと手でつかみ、もぐもぐと食べる忠光。
「コロッケ美味いな。これ、手作りだろ」
絶賛する忠光。
そんなに美味いのか。と思い、俺もコロッケをと弁当に箸を向けるもコロッケは一個しか入っていなかった。