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第五十話
空が徐々に黒く染まって行く中、近所の公園へと着いた。
街灯の明かりに丁度照らされたベンチに莉奈が座っていた。
「遅くなってごめん」
「こっちこそ、いきなり呼び出してごめん」
「「・・・」」
少しの沈黙の後、莉奈の方が口を開いた。
「長くなるから、横に座ってくれないかな」
そう言われて、俺も莉奈の座るベンチに腰を下ろした。
「えっと。どこから話せばいいかな。まずは・・・」
そこから、莉奈はこちらを見ずに話をする。
実は忠光の事が好きじゃなかった。好きじゃないのに忠光に告白をしようとした理由。全ては、自分が好きな人と付き合う為の作戦であった。
「どうして、そんな回りくどい事を?」
「怖かったんだ。冬也に女として見てもらえてる自信がなかったから」
さっきのファミレスの会話を思い出して、これは俺が原因だと気づいた。
俺が幼い頃に莉奈に「女として、見ていない」と言った事が、莉奈を傷つけてしまっていたのだと。




