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第四十話
「話って何ですか?私、おにぃと帰りたかったんですけど」
春ちゃんは不機嫌な態度であった。二人で話をするからと冬也には先に帰ってもらったのがその原因であると思う。
「・・・」
「え。なに?」
春ちゃんは私をジーと見つめた後。
「メイク落としてるんですね。珍しい。もしかして、おにぃにメイクをしていない状態で会いたくないから、私に話があるって言ったんですか?」
・・・半分正解である。が、別に口に出す必要もない。
「実は春ちゃんに謝りたい事があって」
「なんですか?」
春ちゃんに嘘を付いて冬也へ話をしていたのを話した。
「許されないって分かってるけど、これだけは言わせて。ごめんなさい」
頭を下げて謝る。その謝罪に対して、春ちゃんは。
「いいです。そんな心にない謝罪しないで下さい。どうせ、おにぃに嘘がバレたから、私に謝って来たんでしょ」
バレていた。




