第三十七話
* *莉奈が消えた後* *
「それでな。隣のクラスのマドンナに告白したんだよ。すると、返事を待って欲しいって言われな。三日も待たされたんだ。その間、一睡も出来なくて目の下に凄いクマが出来て、今でもその時の写真を見ると酷い顔で嫁と一緒に笑うんだよ」
「幸せそうで何よりです」
先生のあまーいのろけ話を聞きつつ、下駄箱へと向かっていた。
「・・・佐藤さん。まだ帰ってないぞ。行ってこい」
どうやら、下駄箱に莉奈の靴が置いてある事に気付いた先生は俺にそう言ってきた。
「えっと?・・・さっきはしつこい男は嫌われるって言ってませんでしたか?」
「馬鹿。こういうのは時と場合があるんだ。ここで佐藤さんが家に帰っているなら、それ以上は駄目だ。けど、まだ学校にいるのは話は変わってくる。佐藤さんも逃げたくて逃げたんじゃない。話したかったけど、話せなかったって事なんだ。空気を読め。空気を。ここで寄り添える男がモテるんだぞ」
「(・・・今後、先生の事を恋愛マスターと呼ぼう)」
先生もとい恋愛マスターの後押しを受けつつ「恐らく、どこかしらの女子トイレにいるのではないだろうか」と助言をされて、学校中の女子トイレに俺は声をかけて莉奈を探した。
* *校門前* *
「・・・おにぃ。遅いなぁ」
先生におにぃを呼んで欲しいと言って、ずっと校門でおにぃを待ってるのに、学校からおにぃはなかなか出てこなかった。




