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第二十九話
「悪い。俺、ちょっとトイレ行ってくる」
おにぃは席を立った。
今は二試合目が終わり、別の高校が試合を行っている。
「(次の試合も勝ったら、おにぃと、お、お、・・・お泊りデート)」
初めの方は、応援などする気も起きなていなかった。が、話は変わった。
是非とも、忠光さんには試合に勝って頂きたい。
そう思うと、口から声援が出ていた。
「あれ、冬也いない?」
忠光さんが来た。
どうしよう。何か挨拶した方がいいのかな。・・・いや、違う。
「忠光さんは・・・」
どうして、莉奈さんに協力しているんですか?おにぃの気持ちを踏みいじって楽しいですか?親友じゃないんですか?
と、質問攻めで倒してやろうとしたのだが、私は重大な事を忘れていた。
「・・・春ちゃん。実は一目ぼれして君の事が好きです。次の試合に勝ったら、俺と付き合ってくれませんか」
そうだった。
この人《忠光さん》、私の事が好きだったんだ。
「えっと。嫌です」




