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第二十六話
* *放課後* *
「おい。誰だ?あの可愛い子」
「あの制服って、中学生が何の用だ?」
下駄箱で靴を履き替えていると、校門で何やら騒がしく人だかりが出来ていた。
「(何やってんだろ)」
少し気になるくらいで、そこまでの興味のなかった俺はチラッと横目で素通りする。
「もしかして、彼氏待ってるの?暇だったら、俺たちとカラオケでも行かない?」
ナンパしてる。
高校生が中学生をナンパか。
あまりよろしくないな。とは思いつつも、関わるつもりはなかった。
「兄を待っていますので。・・・あ、おにぃ」
ナンパされていたのは、まさかの妹、春だった。
「は、春。どうして、ここに?」
「おにぃと、一緒に帰りたいと思って・・・もしかして、駄目」
可愛らしく首を傾げながら尋ねてくる春。それにいち早く反応したのはさっきまで春をナンパしていた奴らだった。
「おい。お前」
一人が俺の肩に腕をかけ言う。
「妹が迎えに来てくれてるんだ。駄目なんか言うんじゃないぞ」
いい人だった。




