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第二十五話
* *昼休み* *
「おい。聞いてるか?」
「・・・ごめん。聞いてなかった」
「大丈夫かよ。朝からそんな調子で、何か拾い食いでもして腹壊してるのか」
良く分からない言いまわしだったが、一応忠光は俺の心配をしてくれていた。
「(忠光に正直に話すか。話さないでおくべきなのか)」
話すとは、莉奈から聞いた。春が忠光の事が好きだと言う事実だ。
ここで話せば、忠光はきっと、直ぐに春に告白するだろう。そうなると、両想いの二人の恋は実り。莉奈の恋は終わるだろう。俺としてはそれはなかなかに美味しい展開と言ってもいいだろう。が、そんな風に人を陥れてする恋は、嫌いである。
「(俺は親父みたいな事は絶対にしない)」
例、実る事がないかもしれない恋でも最後まで応援すると心に決めた。




