第二十二話
朝。
学校への支度を整える。
「・・・」
部屋を出て、春の部屋を見た。
扉はしまっている。いつも通りならば、この時間は既に家を出ているので、もう家に春はいないであろう。
昨日、俺の部屋を飛び出した後、春は俺を避けるような行動をしていた。
俺がお風呂に入っている時に晩御飯を食べたりなどである。
完全に何か怒らせてしまっているようなのだが、その原因になったであろう莉奈に話を聞いても何も答えてくれることはなく、普通の様子で家に帰って行った。
「あれ?まだ出てなかったのか?」
家を出ようと玄関に行くと、春が靴を履いていた。
「うん。今から出る所」
「そっか」
「お、おにぃ。途中まで一緒に登校しない?」
「・・・へ?」
確かに春が通っている中学校がある方向に俺が通う高校もあるから、途中まで一緒に登校する事は可能であるが。初めて誘われた。いや、それ以前に。今、俺をおにぃって呼んだ?
「は、早く出ないとそろそろ遅刻しちゃうよ。おにぃ」
「・・・あぁ」
急に昔の様に変わった春に対して、俺は喜ぶべきなのか、警戒するべきなのか。少し悩んでしまった。




