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第二十話
「おい。どうしたんだ?」
部屋に戻ると、驚いた顔をしている莉奈と感情がストンと抜けた様な顔した春がいた。
「・・・兄貴。一つ聞いていい?」
「え?」
春はこっち一切見ず、呟く様に問いかけてきた。
「私って兄貴と血が繋がってないの?」
「・・・そうだけど」
春は俺と血が繋がっていないのを知らなかったのかと思う。
「ど、どうして言ってくれなかったの?」
「別に気にする様な・・・って、おい」
血が繋がってなくても、春と俺は兄妹だと、言い切る前に春は俺の部屋を飛び出て、自分の部屋へと戻ってしまった。
「莉奈?春を怒らす様な事を言った?」
「・・・冬也と春ちゃんって義理の兄妹だったよねって会話をしたら急に」
頭をポリポリとかきながら、この状況をどうすればいいのかを考えるも何も浮かばなかった。
「ちょっと、私、話をしてくる」




