第十二話
日曜日。とてもいい天気で。
「ほら、次の試合から忠光が出る予定だから」
「・・・うん」
俺と春の二人で忠光の試合を見に来ていた。
「(忠光。お前の頼み通りに、春を連れてきてやったぞ。後は活躍を見せつけてやれ)」
内心で応援しつつ、春の方に目をやると。
「・・・」
一応、試合を見てくれはいるが。その目はまるで何も面白い番組がやってないから、仕方なくこの番組を見ておくか。といった感じであった。
「(・・・なんで、私がそこまで少ししか面識のない、忠光さんを応援しないといけないのか。でも、おにぃと二人で出かける事が出来たのっていつぶりだろう)」
春が内心でそんな風に思っているなどつゆ知らず。
「あっ。忠光がこっちに気づいた。手を振ってあげてくれないか」
春に忠光へ向かって手を振って貰った。それに対して、忠光は大きく手を振り返してきた。片思いの相手から応援されたのだ、やる気が出ない訳がない。
結果、今日の忠光は凄かった。ガンガンとシュートを決め、そこまで強豪校でもないうちの高校で大会二位の成績を叩き出し、今日で最後になるはずだった先輩たちの公式大会引退を夏まで引っ張りたのだ。




