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指名手配になる

男性キャラが増えてきたので解説です

ハワード→鍛冶屋

セイレン→騎士団長

ユノ→モンク(修道士)新キャラです

「スミレ、大変だ、セイレンが…」


 夕方ハワードさんがセイレンさんを抱えて家に戻ってきた。ちょうどセイレンさんのための両手剣を作り上げ仕上げ作業も完了したところだった。


「どうしたんですか!セイレンさん泥だらけで血だらけ」


「近所の馬小屋で騒ぎが起きてたから気になって行ってみたらセイレンが倒れていた。空から天井を破って落ちてきたらしい、下が干草で助かったようだ」


「なんで、どうしよう」


「ケガ自体はひどくはない、自力で治せるとは思うが意識が無いからヒーラーに見せたほうがいいだろう」


 セイレンさんはグッタリしている。


「とりあえずベッドに寝かせる。ヒーラーを呼んでくるから、その間看病頼んだぞ、スミレ」


「わかりました、急いでください」


 セイレンさんは酷くうなされていて、目を覚ます気配はなかった。私は心配してオロオロすることしか出来ず、見守るほかなかった。


 20分ほど経ってハワードさんが帰ってきた、連れてきたのは修道服を纏ったゴリゴリのマッチョだった。


「あらら、セイレンちゃん派手にやられちゃって、傷は浅いが呪われてるわね」


 修道服に似合わないゴツい身体のマッチョをジロジロ見ていると、ハワードさんが紹介してくれた。


「ワハハ、変なやつだろ、こいつはユノって言ってな、ちょっと変わったやつだがこれでも上位クラスのモンクだ、俺達の旧友の1人だ」


「君が弟子のスミレちゃんね、まあ任せてよ。専門はアンデット退治だけど回復魔法もお手の物なんだから」


 この世界で魔法というものを間近で見たことが無かったので不安だったが、セイレンさんを助けてくれるのならと目を見開き叫んだ。


「お願いします!」


 ユノさんはセイレンさんの胸に手を当て回復魔法を唱えた。


「傷を癒やしたまえ、ヒール!邪悪なる呪いを祓いたまえ、キュア!」


 セイレンさんの身体が少し震えて傷が癒やされていくが起きる気配はなかった。


「セイレンちゃん、起きないわね?じゃあ私の目覚めのキッスで」


 ユノさんが迫ると、セイレンさんが飛び跳ねるように起きた。(すごい効果だ)


「ぎゃあああ!は、ユノ!なんでここに!ここは…みんな…そうだ!国王陛下が、妃殿下が」


「まぁまぁ落ち着け、国王とお姫様に何があったって?詳しく教えてくれ」


 ハワードさんが制すとセイレンさんは深呼吸をしてから王宮であった出来事を語りだした。


〜〜〜


 私たちは皆絶句しながら王宮での事件を聞いていた。辺りはもう暗くなっている。その時玄関の戸が鳴ったのでハワードさんが出ていった。


「セイレンちゃん、これからどうすんの?王宮でそんなことがあったのに町では誰も知らないし騒ぎにもなってないみたいよ、なんで?」


 ユノさんがカールした短い髪をゴツい手でイジりながらセイレンさんに言った。


「まだあれから数時間しか経ってないから誰も知らなくて不思議ではない。とりあえず身体ももう大丈夫だし、王宮に戻るしかない。」


その時ハワードさんが部屋に駆けてきた。


「みんな大変だ、すぐに逃げるぞ。セイレン、お前反逆罪で指名手配になってるぞ!兵士たちが探しに来た」


「なんだと?兵士たちにはなんて言った」


「聞く耳持ってねえよ、かくまってるんだろうと入ってこようしたから張り倒した。すまん」


「あらら、乱暴ね、ハワードちゃんは。本当に指名手配になっちゃったじゃん」


「スミレ!俺は簡易鍛冶道具持ってくる!お前はセイレンの注文品の両手剣を持ってきてくれ」


「は、はい!」


 私たちはすぐに支度をして裏口から出た。ハワードさんは見たことのない斧とハンマーを担いでいた。ハワードさんを先頭にセイレンさんと、ユノさんと私が後を続いて走る。通りの向こうから兵士たちの声が聞こえる。私たちを探しているようだ。


「俺が指名手配されているということは…」


「セイレン!さっき訪ねてきた兵士たちは明らかに挙動がおかしかった。操られているようだったぞ」

 

「おそらく催眠術師の仕業だ!陛下も操られているようだった。だから城には戻れない、町の外に出ることも出来ないだろう。いったいどうしたら」


「町の外れに今は使ってない教会があるのよ」


「しかしそこもいずれ捜索されるだろう」


「地下に隠し通路があるの。塀の下を通り町の外まで伸びてるわ。森の中に協会の者しか知らない避難用の小屋があるからそこに行きましょうよ」


「考えてる暇はねえぞ!そこに案内してくれ」


 その教会に着いた時には兵士の追手も遠ざかっており静かになっていた、町を取り囲む塀がすぐそこに見えている。教会に入り遠い昔に使われたであろう蜘蛛の巣とホコリだらけの地下通路を通り塀の外に出た。


 塀の外は暗い森が広がっており、月明かりをたよりにひたすら走った。その小屋は古びていたが中は小綺麗だった。


 「ここは教会の関係者しか知らないし、有事にしか遣われない小屋だからしばらくは大丈夫だと思うわ」


「国王陛下及び王宮が賊の手に落ちた。これから一体どうしたらいいんだ。みんなも済まない、俺のせいで指名手配になってしまうなんて」


「何言ってやがる。王宮にいる賊を俺たちで討つ。それで誤解を解けばいいハナシじゃねえか」


「まとまったね〜、昔みたいに一暴れしちゃうわよ〜」


 窮地のはずがハワードさんもユノさんもイキイキしてるようで頼もしかった。セイレンさんも思わず

笑った。


「みんな…ありがとう」


「よし、今夜はもう寝よう、明日情報収集して作戦を立てるぞ」


 こうして、私達は小屋の中で眠りについた。

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