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無双する

 ハワードさんの振り下ろしたハンマーの衝撃波で王宮の壁にはヒビが入り窓なども割れていた。


「ハワード、加減しろ、王宮がメチャクチャだぞ…」


「すまん、セイレン。終わったら片付けは手伝うからよ。さっさと片付けちまおうぜ」


「ハァ、これだから野蛮な男はキライなのよね」


 セイレンさんとユノさんがブツブツ文句を言っていた。私はというと、倒れている100人ばかりの兵士たちを見て、ここにいたら巻きこまれてどうにかなってしまうんじゃないかと気が気でなかった。するとその時王宮の中から大きな声が中庭に響いた。


「おいおい、ハデに暴れてんなーお前ら!そこに転がってんのはこの国の兵士だからどーでもいいけどよ!俺達の王宮を壊すのは許さねえぞ!」


 王宮の中から2メートル超の大男が現れた。ここにいる誰よりも大きく、腕の太さは丸太くらいあった。


「俺達の、だと?」

 セイレンさんの気配がピリッとした。


「なんだ?オメーが相手か?長髪の優男!俺と張り合えるのは後ろのドワーフくらいじゃないのか?あとはオカマと女だからな、ギャハハハ」


「カッチーン、オカマですって?」

 ユノさんがキレた。そして、全身を震わせながら拳を強く握りしめた。


「バーサーク!グゴギギグルルル…」


「マズい、ユノがキレた。ここにいたら巻き込まれる。ここはユノに任せて俺たちは、王宮内に入ろう」


 ユノさんがどうなったのか気になったが、私たち3人は王宮内に足を運んだ。宮殿内に入るとき後ろを振り返るとそこに見えた光景は、賊の大男より大きくなったユノさんの身体が見え、その拳が大男に振り下ろされようとしている瞬間だった。


 背後から怒号と轟音が鳴り響く中、宮殿内を進むと玉座の間に着いた。玉座には目が虚ろになった国王陛下であろうお方が座っており、邪悪なオーラを発していた。


 「陛下!」

 セイレンさんの声が虚しく響く。


 呼びかけに反応しない国王陛下のその隣には、怪しげなフードを被った魔法使いのような賊が立っている。


「あいつが兵士たちを操っている賊か、俺が相手をしよう。セイレン、お前はお姫様を探せ」


「わかった!ここは任せたぞ、ハワード!」


 セイレンさんはそう言って西の塔に向かう扉に走っていく。


「ハワードさん1人で大丈夫ですか?あいつ魔法使いですよ!」


 「ワハハ、分が悪そうに見えるか?じゃあ加勢してくれ!スミレは国王に近づいて聖水をかけてくれ」


 ハワードさんはそう言って笑うと、持っていた斧を構え水平にぶん投げた。斧は魔法使いめがけて飛んでいくも簡単に交わされた。


 操られている国王は私に向かって両手からオーラを放ってきた。私は幸運剣を取り出し身構える。すると幸運剣が光だし、邪悪なオーラを消し去ってくれた。どうやら聖なる力を宿していたらしい。


「すごい!これなら近づける!」


 私は国王の元へと突き進み、持っていた聖水のビンを投げつけた。国王の身体に聖水がかかると邪悪なオーラが消えていく。


「わ、私はいったい…」


「やったー!ハワードさんやりました!」


 ハワードの方を見ると魔法使いの身体を掴んで高く掲げていた。そこに先程当たらなかったはずの斧が飛んできて魔法使いのクビを飛ばした。


「え!え!なにあの斧!」


「ああ、この神器ミョルニルは自動追尾能力が付いているから的に命中するまで飛びつづけるんだ。だから身体を押さえつけておけば当たるんだよ!」


「な、なんて単純な戦法…」


「俺は王様を介抱する。スミレはセイレンを追え!お姫様にも聖水をぶっかけてやるんだ!」


「わかりました!」


 私はセイレンさんの後を追い、妃殿下の部屋がある西の塔へと向かった。


 妃殿下の部屋に入るとセイレンさんと賊が、飛び交い戦っていた。あの賊はずっと前に私を襲ったアサシンだ。


 この前の戦いでは圧倒されたと言っていたセイレンさんだったが、以前より格段にスピードが上回っていた。


「なぜだァ、以前は俺のほうが早かったはず!貴様一体何をしたァ、」


「ふふ、この両手剣に付いている能力、無限ヘイストにより俺のスピードは格段に上昇している。さらに!」


 セイレンさんが剣を振りかざすとセイレンさんの全身が光輝きだした。


「すまないが以前の私ではない」


「ふざけんじゃァねえええェ!」


 アサシンが回転しながら放った斬撃はセイレンさんの光り輝く鎧に全て弾かれ、アサシンが握っていた短剣の刃は欠け無惨な姿になっていく。


「うわあああァ、なんだこの野郎はああァ」


 セイレンさんが両手剣を振り下ろすとアサシンは真っ二つに割かれた。

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