花畑
『今日は晴れててよかったね』
『絶好のお出かけ日和』
車に荷物を詰め込みながら
君が子供みたいにはしゃいでる
笑顔が得意じゃない僕だけど
そんな君につられて、笑ってた
『危なっかしい』と君がぼやいてたのは
確か、去年の夏だったっけ?
『君が助手席にいたから』
そんなキザな台詞、どうして口に出ちゃったんだろう
信号機を指差して
チューリップの歌、口ずさむ君
白を青と間違えてたみたいだけど
面白かったから、何も言わずにいた
目的地まで、もうすぐか
ずっと浮かれてたみたいだけど
ねぇ、疲れてない?
『写真で見たより、綺麗だね』
ありがちな台詞が自然に出て
でも君は、そんなの聞いてなかったね
沈黙が長く続いてたけど
それが幸せの長さと一緒だなんて
ここに咲き誇る花たちのせいだろうね
それと、君のせい
この花畑一面の
色鮮やかなや儚い輝き
心のフィルムに焼き付けるんだ
君の姿と共に
永遠なんて話をするのは
今があまりに幸せだからで
地平線のずっと先まで
花畑が広がってると思いたいんだ
甘い幻想とわかってても
今は君に惑わされていたい
永遠なんて望みはないから
少し未来の話をしよう
一年後、またここに
君と一緒にこの場所へ
もしも都合が合わなくても
心と心を寄り添い合って
二人だけの空気、作りたい
永遠なんて望みはないから
ちっぽけな僕の人生が
君の人生と重なり合う瞬間を
出来るだけ、作っていこう
辛い現実が待っているのなら
君のそばで、それを乗り越えていきたい
君のために出来ることは
僕のために必要なこと
それが確かなことだって
ちょっと前にわかったんだ
だからさ
ずっと君と、一緒にいたい