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学園最強の独隠楽生  作者: ます
第1章 イントロダクション
18/27

018-厄介な存在

 数日後、俺は深町に連絡を取り、指定した情報について調査してくるよう指示を出した。今回が初めての指示だが、彼女がどれほどの精度で調査をこなすのか確認するには、ちょうどいい機会だった。いわば試運転といったところだ。

 依頼をしてからそれほど期間は経っていないが、ある程度の情報は集まったから報告をしたい、と連絡が来たので、前回の契約時同様に、屋上を待ち合わせにしている。


 今回依頼したのは、他クラスの内部情勢と、藤宮のようにクラスの先頭に立っている人物が誰なのか。さらに他クラスからの接触が発生しているかどうかの調査だ。

 ついでに他クラスのクラスリーダーが確認出来るのが一番だが、深町はクラスリーダーという存在を知らない可能性がある為、調査依頼は出していない。

 

 クラスリーダーの存在を知っている俺なら、藤宮を隠しながら行動を起こすだろうな。今回は全て藤宮に任せているので身の振り方も特に文句はない。他クラスの動き方を見て、藤宮に変わる影役者を立てた方が良いとなれば、その部分だけでも助言するのも悪くないかもな。


 そして、最後の問題は他クラス間で既に接触がある場合だ。何かしら妨害をしていることが確認できるのであれば、俺のクラスにも何かしら妨害をされる可能性がある…というか、既にされている可能性も否定できない。

 イントロダクションのルールで妨害を出来るとすれば…裏切りを促進させる何か、もしくは、クラスを分裂させるための何かだ。イントロダクション本番で発生する可能性もゼロではない。

 

 初めての特別試験ということで、前例がなく、何が起こるか予想がつきにくい。可能性は無限に広がっているが、その中で、俺にとって致命的な問題がいくつか発生する可能性がある。予めいくつかリストアップしておくべきだろう。


「さて、それじゃあ報告を聞こうか」


 独り言のように、誰も居ない場所に話しかける。


パリン


 前回と同様に、ガラスが割れたような音が鳴った瞬間、空間がゆっくりと歪み始めた。やはりとてつもない違和感を感じる。

 毎回こんな風に訪れるつもりなのだろうか?徹底しているのは悪くないが、少し意識を外したら気付かないぞ。


「やはりバレてしまいましたか…」


「意識していないと全く気付けない。やはり良いギフトだな」


「『普通は』見えないはずですけどね」


 「怪物」と最初に会話した際に言われた評価のままなようだ。まぁ、空間に違和感を感じるというのは、些か難しいことだ。カウンターとなるギフトを持っている等がなければ、基本見えないのだろう。


「それで、報告を聞こうか」


「はい。今後、調査し続けても入手できないと判断したものは、現在不明として処理をしています。継続して調査は行いますが、情報が確実でなければ報告をしないという方針で問題ありませんか?」


「いや、不正確な情報でも入れておけ。ただ、その場合はメッセージで寄越してくれれば良い」


「承知いたしました。それでは、今回の情報となります。」


 先ずは一組の情報からだ。今回のイントロダクションでの中心人物は白銀悠真(しらがねゆうま)だ。開示されているギフトは身体強化(エンハンス)だが、俺が使用している身体操作(コントロール)とは異なり、脚力や筋力の上昇といった攻撃に特化した能力だ。デメリットはあるが、身体操作の方が強化できる倍率に制限がないため、身体強化は身体操作の下位互換のギフトと言えるだろう。

 そして、クラス内の状況は比較的協力的で、裏切りの発生は少ないと予測される。白銀の性格やカリスマ性に引っ張られている部分があるのだろう。入学してから、この期間で信頼も厚いとのことだ。


「他クラスからの接触情報ですが、複数のクラスが白銀に対して何かしらの接触を試みているようです」


「なるほど…接触している理由は気になるが、恐らくクローズな場で行われているだろうから、情報を引き出すことは難しそうだな」


「次に、二組の情報です」


 中心人物は神谷玲奈(かみやれな)だ。開示されているギフトは氷結(フリーズブレード)となっている。詳細は実際に見たことがないから分からないが、情報として流れているものでは、瞬時に周囲の空気中の水分を集め、一瞬で氷の刃を形成出来る。刃は使用者の意思に応じて形状や大きさを自在に変えることが可能で、近接戦闘に適した片手剣から広範囲に及ぶ大剣まで、瞬時に変化させられる。他にも効果はあるみたいだが、記載されていないようだ。

 クラス内の状況は内部で意見の相違があり、やや不安定な状態のようだ。俺のクラスに似た状況なのかもしれない。


「接触情報ですが、他クラスからの接触が神谷玲奈へではなく、クラスメイトの一部に対して確認されており、クラス内に裏切りを助長する人物が存在している可能性があります」


「その存在がクラスを不安定にしているのか…」


「その可能性が高そうです。次の三組についてですが、最後に報告させて頂きます」


「どうしてだ?」


「簡潔に申しますと、不明な情報が多々あるということです。」


「分かった。それじゃあ、四組は俺のクラスだから、飛ばしてお前のクラスについて教えてくれ」


 五組の中心人物は真壁陽菜(まかべひな)だ。開示されているギフトは電撃操作(サンダーフィールド)となっている。電撃操作は、使用者が電気エネルギーを自在に操り、特定のフィールド内に電撃を展開するギフトだ。フィールド内では、敵味方関係なくすべての対象に対し、電撃の影響を及ぼすことができ、広範囲攻撃に優れている。電撃の強さや範囲は調整可能で、弱いスタン効果から強力な雷撃まで操ることができる。

 クラス内の状況は統率自体は取れているが、内部に少数派の不満分子が存在しているようだ。しかし、それが広がる様子はないらしい。真壁が何かしら策を講じているのだろう。


「接触情報ですが、外部からの介入は少ないようです。何かしら制限をしている可能性もあります」


「なるほどな。不満分子というのはやはり居るものだな」


 藤宮が目指すべきは、五組の真壁と同じ状態にするのが良いのかもしれない。ただ、他クラスも同様に言えることだが、この短期間で統率や協力的なのは少し怪しく思える。リーダーシップを持っているとはいえ、何かしら裏で行っていることがあるのかもしれない……それこそ、『第二のギフト』が関係している可能性も捨てられない。


「最後に、三組の情報ですが…」


 深町は困ったような表情を浮かべ、視線を下に落とす。その態度に、何か重大なことを隠しているような雰囲気が漂う。

 

「どうした?」


「……一切、情報が出てきませんでした」


 深町の声は抑えられていたが、その裏には焦りと無力感が隠れていたように思える。相手がいかに隠密に動いているかが伺えるし、彼女ですら掴めない情報というのは、思った以上に厄介な存在かもしれない。


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