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8話 アート オブ レザリボン

楓は帰りの電車の中で母親に経緯をメールで説明した。そして東京に戻ると母親はかなり怒りをあらわにして楓にこう言った!


「楓!あんたなんでそう何にも考えずにいきなりこっちに帰ってくるの!仕事も今日で話してやめた?ふざけんじゃないよ!会社の人もいきなりやめて迷惑かけたでしょ!それともあんたもういらないってクビにでもなったのかい!」


当然ながら楓のこのような突拍子もない言動に母親は激怒した。社会人としてというより人としてどうなのか?楓は昔からこういった非常識に突っ走る性格だが今回ばかりは酷すぎた


「それに、明日から仕事はどうするんだい!こっちに戻ってきていくあてはあるのかい!」


「ああ、それなら問題ない。」


そういうと楓は今までの経緯と想いを全て母親に説明した。母が楓を知っているように楓も自分の母親がどういうものか理解していた。就職はやはりフィギュア関係の会社に就職するということと、美大に通ってた頃の友人にコネがあるということ


「まああのさ、そういうことで今は一分一秒が惜しいからとりあえず知り合い何人かあたってみるね!あー福井の荷物はそのうちまた行ってちゃんと転送してもらうから」


そういって母親と話をつけるとすぐさま葵に連絡を入れた。朝から電車に乗り福井から帰ってきてもう夕方近くだったが、とりあえず葵が休みだということで時間を作ってもらった


そしてすぐさま楓は葵と約束した待ち合わせのカフェに向かう。店につくと葵がいた。葵、直接会うの一年半ぶりだ!楓は嬉しくて葵に抱きついた


「葵!久しぶり!会いたかったよ!元気だった!?」


「あー、はいはい、あんたさあ、また一時の感情でこっちに戻ってきたでしょ。まったくもう何も昔から変わってないねぇまったく」


葵は呆れた様子で楓にそういうとくすりと笑ってこう続けた


「ま、そこがアンタのいいところなんだけどね。」


そんなこんなで二人はカフェで色んな話をした。葵は今アニメ会社の色彩設計をやっていて、一年で現場のリーダーになったようだ。楓のように技術があるだけでなく、もうそこをまとめる存在となっていた


「まったくもう、あんたはほんとにその場の感情で動いてすぐ行動するんだから!で、次はなんの仕事に就くの?フィギュア造形師でしょ?けどさ、どうせなんか向こうで見つけて戻ってきたんでしょ?それを早く教えてくれるかな」


当然ながら楓との長い付きいの中、葵は見抜いていた。楓はただ何か別のことがやりたいと思って戻ってきたわけじゃない。自分の中で何か考えがあって、それがまとまったのだろう


「そう、葵!あたしやっぱりフィギュア造形師になるんだ!それでさ、そのフィギュアは革を絶対に使用した専門の造形師になるの!」


革のフィギュア?フィギュアは基本的にポリ塩化ビニールや粘土で作られているのが一般だが、革でフィギュアを作るというのか?


「革のフィギュア?ん?なに?それってレザークラフトのこと?」


「んーん、レザークラフトじゃないよ!表面は普通の素材でフィギュアを作るんだけど重要な一部分、ここだけは外せないっていうようないい部分だけ、革で作るの!」


たしかに本革で作られているフィギュアは存在する。しかし値段は破格だ。更にはかなりの技術と時間、材料費も要する。楓は革専門のフィギュア造形師になろうというのか


「ふーん、革専門のフィギュア造形ね。たしかにあんたレザーリペアの会社にいたからそれもありかもね。わかった!やるだけやってみな!あたし応援するからさ!うちの会社で知り合いにフィギュア造形やってる人がいたからその人に頼んでみるよ!」


「ありがとう葵!」


「ふーん、それでさ、あんたが将来やりたいって会社の名前は?屋号は?あたしそれが聞きたい」


葵がそういうと楓は自信満々に笑みを浮かべてこう答えた


「レザリボン!レザーの再生技術を活かしたフィギュアがウリで、色落ちしてもまた再生できるようになるってことで、「アートオブレザリボン!」


そうして楓はすぐさま話が通り、葵の知り合いのフィギュア造形師の会社で働くことが決まった。もともとフィギュア造形も高い技術を持っていたのですぐに現場のエースになった。


そして楓の会社に3年ほど勤め、フィギュア業界にはなくてはならないほどの優れた人材となり、自分で会社を立ち上げた。そしてさらにそこから5年の歳月が流れた


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