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3話 そもそも論


8番ラーメンについた楓。夕食もまたラーメンかと思ったけれど実はラーメンが食べたいからここに来たのではなく、なんとなくの直感できた。というのは昼間に社長と話をした場所にその場の感情でただ行きたくなったからだった


駐車場を見るとどこかで見たことのある車が止まっている。あれ?青いセダン?確かあれは社長と同じ車だ。いやでもたまたまだよな、そんなふうに考えながら楓はお店に入った


昼はラーメンだけだったし、夜はチャーハンと餃子でも食べようか、そんな感じで席に座ろうとするとどこかで見た人がまたあの席に座っていた


「あ、加藤社長!」


そう、そこには社長がまた同じ席に座っていた。なんという偶然。社長もたまたまここに来たのだろうか?


「ああ、宮内さん、こんばんは。珍しいね。また会うなんて。夜もラーメンかい?」


「あ、はい、いや実はラーメンじゃなくて餃子とチャーハンが急に食べたくなって」


「そうなんだ。また会うなんて奇遇だねえ、とりあえず一緒に食べよ」


世の中面白いもので自分と周波数の近い人間というのは同じ行動を取りやすいものだ。おそらくは社長もなんとなく昼間に楓に話した話を思い出してここに来たのだろう。ラーメン屋と言っても餃子もご飯ものもあるしどうにかなると思ったのだろう


「あ、あの社長、実はお昼に話したお話の続き、聞きたかったんです。よかったらまた話してくれませんか?」


「ああ、そうなんだ。よかった。僕もちょっと宮内さんと話したくてさ」


夜の8時に8番ラーメンで餃子チャーハンを頼む二人。席に着くとすぐに餃子が届いた


「まずさ、これは餃子だけど餃子は何からできてるか知ってる?」


社長が楓に突然問いただす


「え?餃子?ですか?原料は知らないけど餃子の皮と中はひき肉とニンニクとか野菜ですよね?」


「そうだね、餃子はそれが原料だね。料理もなんでもそうだけど、当たり前でけど原料があるよね。だからさ、元々レザーについてくわしくなかった僕はレザーがそもそも何からできてるかっていうのを追求しようと思ったんだよね」


「あ、その気持ち、すごくわかります。私もフィギュアを作るとき、ただフィギュアを作るんじゃなくてフィギュアって何からできてるのか最初に調べようと思ったんですよ」


社長の話に勝手に割り込む楓。こういうところがアニメファンの子どもっぽいところだ。しかしレザーとフィギュアではジャンルこそ違えど同じクリエイターとして共通するものがあるのだろう。楓はますますテンションが上がった


「ああ、フィギュアも色んな素材があるよね?高いのもあれば安いのもあるし。レザーもさ、合皮とか本革とか色んな種類があってさ、そこで『そもそも論』を根本にレザー造りの工程を勉強しようと思ったんだよね。レザーが財布やバッグになる前の過程を知らなくっちゃってね。」


「わかります!わかります!私も最初、フィギュアは何からできてるかっていうのを勉強して、いろんな素材があるのを知って、そこでフィギュアの本質を知ったんです。レザーもそれが大事ですよね!」


楓はわくわくしながら社長の話を聞いた。自分も美大にいる時フィギュア製作をしてフィギュア造形士になろうと決めた時フィギュアの材料だったり造形の仕方を学んだものだ。と。しかし彼女は技術と情熱はあったのだがビジネスの素質はなく、ただただ遊びのように作っていたので就職はままならなかった


「そう、それでさ、色んな染料や塗料メーカーに問い合わせて使って見たものの、染め直しじゃなくて塗装になっちゃってね。またかって感じでガクッときたよ」


社長の話を真摯に聞く楓。せっかく原点に戻って勉強をし始めたのに、問題が解決しない。これはこれでかなりの苦悩だろう。しかしここからどうやって這い上がったのかか気になるところだった


「それでさ、その後も相変わらずもレザーが作られる工程を論理的に知ることが出来ず、苦悩の嵐だよまたもや。

レザーの種類などの知識は学ぶことはできたのだが何をどう使って染めているのか、さっぱり理解できなかったし、被膜に配合する薬品など、全然わからないしね。原点復帰とかいっても悩みもまた原点に戻っちゃってさ。

けどさ、それでもどうにかあきらめずアンテナを張りながら日々研究を続けたよ。当時は辛かったけどさ。」


原点に戻り一から学び直した社長。しかし十分な成果は出ず、またもや悩むことになるのである。しかしこの後、社長にとって運命的な出会いを果たすことになるのである






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