3.ランドの歓喜。
幕間的なお話。短いです。
ランドは歓喜していた。
あのように、自分の挑発に対して切って返す冒険者はいなかったからだ。
少し見どころがあると思っても、アイゼンにしたように殺気を零せば尻尾を巻いて逃げる。あるいはその場で腰を抜かしてしまう。
それの繰り返しに、いつしかランドは呆れてしまっていた。
誰か、自分の渇きを癒す者はいないのか。
いるならすぐにでも、自分と正々堂々と戦ってほしい。
「だけど、今回は期待してもよさそうだな……!」
夜の街を歩きながら、ランドはニヤリと笑いながらそう口にした。
アイゼンは今までの奴らとは違う。桁違いの能力を秘めているのは、あの冷静な雰囲気から明らかだった。まるで鉄仮面のように崩れない表情に、ぞくりとする。
そして、その表情を苦悶の色に変えてやりたいと、ランドは思った。
実力者に現れてほしいと願った反面、挑発されたのは腹が立ったのだ。
必ず、余裕綽々といった彼を倒してみせよう。
ランドはそう思いながら、夜空を見上げた。
大きな三日月が笑っている。
それはまるで、彼の心を表すようでもあった。
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