表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶世の反逆者 ー刻龍ー  作者: 金の生える田んぼ
5/15

騒動2

2、

そして翌日__



「じゃあレオ、後でまた会おう」

「じゃあね、レオくん」


今日も同じように、オレ、翔真、橘、この3人でいつも一緒に登校している。といっても寮は学校からすぐ近くにあるからあまり登校しているって感じではないが。

翔真と橘は同じクラスでオレは違うクラスだ。だからいつもオレのクラス前で別れる。


<ガラガラガラ>

入り口の扉を開くと、教室がいつも以上に騒がしかった。


「おっ、レオおはよう!」


これもいつものように、瞬間的に涼太が挨拶をして、その後に「レオ/レオくん おはよう!」

という声が続く。



「騒がしいけど何かあった?」


「は?今日は魔実テストだから騒がしくなるのもおかしくないだろ?」


「ま、まあ確かにそうだけど……」


「でも今うるさいのはその話題じゃないぜ! この後すぐに俺らのクラスに1人生徒が増えるんだってよ!」


へぇ、それはまた珍しいな。まだ入学して1ヵ月しか経っていないのにもう転校生ってわけか。


「なんでも、入試を受けてすぐに海外に行ったらしいぞ。それで最近帰ってきたから、今頃になったってわけなんだ」


「なるほど、だから他のクラスの人数は36人なのにこのクラスだけ35人だったのか」

どうやら転校生ではないようだ。





「おはようみんな~!席に着いて~」


担任の先生が来た。

先生の名前は冴橋紗恵(さえばしさえ)。特徴は、他の教員よりも若くて明るい。


「今日は皆さんに新しいお友達ができま~す!」


「さえちゃん先生、けっこう噂になってるからもう皆知ってますよ~」


「え、まじ!? 1人で盛り上がって恥ずかしっ!」

いつもこんな感じのテンションだ。


「まあいっか、入ってきて~~」


先生がそう言うと、その生徒は静かに入ってきた。


「じゃあ自己紹介してくれる?」


「はい。僕の名前は五十嵐恭也(いがらしきょうや)です。最初からこのクラスの生徒でしたが、親の都合でヒスパニア国に長く滞在していたのでなかなか日本に帰れませんでした。ですが、今日からは毎日通うつもりなので、クラスの一員として皆さんと早く馴染んでいけたらいいなと思っています。これからはよろしくお願いします」


彼の自己紹介が終わると、周りが騒ぎだした。

男子からは「よろしく!」の声が。

女子からは___

(えっ、イケメンじゃない!?)

(わたし、けっこうタイプかも…!)

(彼女いるのかな?)

……などの声がちらほら。


身長はけっこう高めでスリムな体型だ。見た目とは裏腹に、落ち着いた感じの人柄だ。

落ち着いているといっても翔真とはまたタイプが違う。声すら落ち着いていて透き通るような感覚だ。翔真は結構明るい声をしている。


「それじゃあ座席はあそこの空いているところだね~」

偶然にもオレの隣だった。

「ではみんな~、1時間目の授業からしっかり受けるようにね~~」


こうして先生は教室を去った。



5秒も経たずして浅井と高山が来て、オレ、涼太、高山、浅井が五十嵐を囲むような形になった。


「よろしくな恭也!俺は近田涼太。リョータって呼んでくれ!」


「うん! よろしくリョータ」


そしてダラダラと自己紹介を終わらせ__


「今日、魔実テストがあるけど五十嵐くんは知っているの?」


「うん、わかっているよ。確か放課後だよね?」


「うん! あ、五十嵐くんは特化選択を何にしているの?」


「特化選択は戦闘。僕の中でこれが1番点数を取れるんだ。それと将来、軍人になろうと思うんだ」


「えっすごい!もう将来のこと決めているんだね!」


コイツは普通にそういうこと言うタイプか。


軍人になるということは昔でいうプロのスポーツ選手になるというのと同じであって、現代は軍人が有名になる時代だ。


「それで、五十嵐くんはどこ出身なの?」

「鹿児島区だよ」


「あ……そうなの…… なんかゴメンね」

「ん?ああ、別に大丈夫だよ」


ん?何がゴメンで何が大丈夫なんだ?


「何が大丈___」

「あっ、そういうばレオ君はアルカディア人なんだよね?」


「ん?あ、そっそうだ。日本に来て今は6年目なんだ」


「6年目!?それにしては日本語上手すぎないか?もうなまりなんてほとんどないし……」


「ホントそれな!コイツスゲーんだよな。 俺もこんなに賢かったらなぁ……」


「まあそうだな。暗記力・記憶力が高いとよく言われるよ。あと、元々日本に興味があって日本語を少し勉強していたんだ」


2つ目(日本に興味があって日本語を勉強していた)は真っ赤な嘘だ。そもそも、その頃は日本なんて知らなかった。

そしてもちろん、オレは他の皆にも自分の過去を隠している。別にどうしても隠さなくてはならないことはない。ただ、それで気を遣われるのも釈然としないし、周りに広まっては何かと面倒な気がする。だから今は念のため隠している。


ちなみに賢いのはオレ自身謎だ。いっぱい勉強していたわけでもないのに。



数分するうちに多くの生徒(特に女子)が五十嵐の方へと集まり、数々の質問を迫られた。もちろん困惑する五十嵐。まるで入学当初のオレだ。 いや、自慢じゃないけど……


結局、途中にあった浅井が黙ったあの話は何だったのか聞くことができなかった。まあ大したことではないのだろうけど。



そして時間が過ぎていき、放課後、1年生にとっての第1回魔実テストが始まった。



***


改めて戦闘テストの概要を確認した。


戦闘テストは観てて楽しいとのことで、まだ僕/私はテストの時間ではないという人やもう終わっている人などが集まるからギャラリーが多い。

5回対戦する。対戦相手はくじ引き。全学年混合だから、年上と対人することも普通にある。

戦い方はほぼ自由だ。どんな魔法を使っても良い。勝敗は審判が、『まともに痛い攻撃を食らった』と判断したときに決まる。雑に言っているように聞こえるが、これがこのテストにおいての公式なルールだ。



オレはくじの結果、5人中の2人が翔真と五十嵐であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ