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絶世の反逆者 ー刻龍ー  作者: 金の生える田んぼ
15/15

本戦出場予選8

8、

あれだけ高山の説教を受けたから、精神面はもう心配することは無くなった。


実践面での反省点を探り返した。すると思っていたことが1つ。それは、脚力・肩力・体幹、つまりは筋力がまだまだ弱いことに気付いた。

あの試合、高山の瞬速魔法でオレが捕まれたとき、大きく吹っ飛ばされた。それは身体が軽いから。魔法強化以前の話だ。

もう予選も始まっていて『時すでに遅し』かも知れないが、筋力トレーニングを始め食事に関しても気をつけるようになった。


そうして予選は続いた。


心も身体も成長していることが目に見えるくらい確実に分かった。


こんなに上手くいくとは思わなかった。

なんと立て続けに勝ち取り、勢いのまま完全に追い風状態だった。3年生にも恐れず勝利を収めた。


しかし11回戦、相手は願ってもいなかった五十嵐との二度目の対戦。

結果は敗北。『一度あることは二度ある』という言葉通りだった。観覧車事故で見た、あの突風魔法が特に鬱陶しかった。

それにグダッてしまい、次節はミスを連発。仕舞いには場外アウトをさせられ敗北。

なんとか気持ちを切り替えることができたが、2敗していることに気が回ってしまっている。



そして最終節の日____




「皆期待しているぜ!お前ならゼッタイに勝てる!俺は信じてるぜ」


「今日絶対に勝とう!そして僕と一緒にトーナメントに入ろう」


まだ朝だっていうのに、涼太と五十嵐はもう応援してくれた。


「でもホントすげぇよな、魔実の成績最悪だった奴がまさかここまで行くってなあ。お前今、全学年で一番注目されてるの知ってるか?」


「あぁ知ってるさ。期待されているのは自分でも分かっている。だからもう負けられない」


最低順位に近いヤツが、コロシアムに出場したことは過去に一度もないらしい。

だからこそオレは焦ってしまう。今まで通りの戦闘をすればいいのに、周りの期待度でどうしてか緊張してしまう。


「俺だけしゃない、他の皆も待ってる。ま、レオ、心配すんな。根拠はないけど勝てる。

急ごうぜ、授業始まるぞ」



安藤稀世一(あんどうきよいち)、3年生、魔実順位は40位。最終節の相手だ。

これは新聞部が趣味でやっていると聞いたが、予選出場者の対戦成績を全て集計して、それを表にして拡散しているらしい。

オレは気になって昨日、自分と安藤稀世一の成績を見た。すると現在両方とも2位タイの15勝3敗だった。

つまり、どちらかが必ず決勝トーナメントに出場できるというハラハラドキドキ展開である。



「授業集中しないと……」


…………


…………


…………



……気がつけば放課後だった。


まったく集中できなかった。


今日はもう勉強どころではなかった。昼食のとき、いつもとは違って高山・浅井がオレたちの方へ来て弁当を食べていた。


「レオくん、ずごく緊張しているように見えるけど……」


そのとき浅井に言われた言葉だ。外観でも分かるくらい緊張しているのかオレは……




***


「それでは両者中央へ」



運動着に着替えているときもそうだし今もそうだ。身体の震えがまだ治まっていない。


「私が『礼』と言うので、互いに礼・握手・挨拶をしたあと後ろに下がってください。良い試合になるよう、より良いジャッジを行うので精一杯頑張ってくださいね。

それでは……礼!!」


「レオナルドくんガンバレ~~!」

「レオ!!俺たちが見守っているから大丈夫だ!」

「史上初の快挙、成し遂げてくれ~!!」


正直完全なホームだ。気持ち的にはアウェイだけど。

いつもより2倍、3倍……いやもっとだ。フィールド周りが観衆で埋もれている。

面識のある人はもちろんのこと、それに加え知らない人さえもたくさん観に来ている。


「よ、よろしく」


「…………」


なんだ?シャイなのか?


____

_____


ふぅ


ここまで来た。オレは成長した。恐れることはない。誰であろうと。精一杯闘うだけだ。後悔しないために。今まで通り。今まで通り。


「3……2……1……戦闘開始!!」


始まった。



「シールド!」


まずは様子見でシールド魔法。相手も同じように。


「火炎魔法……」


遠距離で放ってくるも、それほどのスピードではない。


わざわざシールドで防ぐ必要ない。そのままかわす。


距離を詰め、爆裂魔法。


「ちっ……ダメか」


相手のシールドも中々な堅さだ。ダメージを与えきれない。


また火炎魔法が来た。この距離では間に合わないからシールドでガード。


お返しにこちらも火炎魔法。近距離発動により相手のシールドが破れる。その隙に素早くグーパンチ。


一度攻撃に成功。が、また後方へ下がられる。


緊張が解けてきた。自分の動きに磨きがかかり相手の動きに慣れていき、ペースを掴んでいる。

相手の実力もそこまでだ。これなら勝てる……!


もう一度自ら前へ____



「……ウゼェんだよ」


は?


「安藤式光魔法 月下閃々(げっかせんせん)!」


何だこれ…! 目が…!

辺りに一瞬強い光に覆われ、オレは目眩ましに遭った。


「安藤式水斬り魔法 水面静揺(みなもせいよう)!」


「ぐあぁ!」


くそ……まともに受けてしまった。


何だコイツ、さっきまでは本気じゃなかったのか……!


「レオナルド・リューク、だったか?俺はオメェが嫌いなんだよ」






安藤稀世一 40/648位

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