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絶世の反逆者 ー刻龍ー  作者: 金の生える田んぼ
13/15

本戦出場予選6

6、

「遅いなぁ……」


午後1時に駅前集合と言ったのに、かれこれもう30分も遅れている。約束した張本人が全然来ないのはちょっと腹立たしい気分にもなる。


呆れて待っていると、


「あー!レオく~~ん!遅れてごめ~~~ん!」


手を振ってこちらに向かって走ってくる高山の姿が見えた。

そしてたどり着くと、ハアハアと息を切らしていた。


「えへへ// ごめんね、遅れちゃってぇ」


私服の高山を初めて見た。良いオシャレをしていて少しドキッとした。

オレの私服はダサくないだろうか……


「別にいいよ、オレもついさっき着いたばかりだし。それより高山、なんか雰囲気変わってない?」


「うん、髪の毛軽く切ってきたの。どう?似合う?」


「うんバッチリ!」


正直、ほんの少し変わっただけであまり見分けがつかないが、言っておいて損はない。


「あ、ありがとう////

さっ、電車に乗りましょ」



ガタンゴトン~~ガタンゴトン~~



「最寄駅でもこんなに人が多いってなると、今私たちが住んでいるところって結構都市近くだよね?」


「本当にそうだよ。高校生になってから周りの景色が一変して変な感じだ。まあ今はとにかく座席を確保できたからいいじゃないか。あ、もっとこっちに寄ってきて」


「え…// きゅ、きゅうにどうしたの//?」


「え?いや、オレら微妙に隙間空いてるから埋めないと周りに迷惑かなって」


「そ、そうだよね…………よいしょっと」


こういう小さな行いをしっかり心掛ければ社会貢献に繋がると思っている。オレのモットーだ。


「暑いな……あ、別にくっついていいよ」


「……うん、そうだね////(なんか緊張する~~~!!)」




***


「ん~~~着いた~! 早く行こ行こ!」


「分かってますって」


しっっっかし予想以上に人が多いなぁ。これじゃあ待ち時間相当かかるぞ……


と思いつつも、何を乗るかはほぼ全て高山に任せた。まぁ後で後悔したわけだが……





ジェットコースター


~~~~~~~~~

「最高~~~!!!」

~~~~~~~~~


→コーヒーカップ→


→メリーゴーランド→


~~~~~~~~~

「はい、ソフトクリーム。溶けない内に食べてね」


「あぁありがと……」


「私のお金で買ったのだから後で返してよね」


「ェ…!?(それって実質オレの金で買ったことになるのでは…?)」

~~~~~~~~~


→ジェットコースター→


→お化け屋敷


~~~~~~~~~

「バァア!!」


「ギェャアアアアアア!!!」

~~~~~~~~~


→ジェットコースター→


~~~~~~~~~

何かおかしい気が……

~~~~~~~~~


→空中ブランコ→


→ジェットコースター→


→ゴーカート→


→ジェットコースター→




………………


「……てっ!さっきからジェットコースターばっかり乗っているじゃないか!?」


「え~~~別にいいじゃん!いいじゃん!」


「いやもう夜だし! それとオレはジェットコースターとかは恐怖症ないけどさ…流石にもうダメ………疲れた」


「まだ早いよ~~~~」


女子はジェットコースター好きだよな……

恐るべし……!!


「なら最後に観覧車に乗って終わりにしよう」


「えーー?まぁ、レオくんがそう言うならいいけどぉ…」


観覧車は座るだけだから落ち着けるし時間稼ぎにもなるから、今のオレには最高の乗り物だ。



「それではカップルさん、良い夜景を楽しんでくださいね」


「ど、どうも……」




今思えば、これって周りから見ればオレたちカップルなんだよな…?全く気づかなかった。

高山は、オレと遊んでいるこの状況をどう思っているのだろうか。


「今日はゴメンね」


「え?」


「だってほら、レオくんはさ、全部私の都合で今日動かされたし遊ぶ予定すら私の都合で決めたことだから、嫌になったんじゃないかって……」


あんなに夢中だった高山も、そう思っていたのか。

やはり他人想いなところ、あるんだな。


「ううん、そんなの気にしてないよ。確かに今日は振り回されたけど、楽しかった」


「優しいね、レオくんは…///」




この静寂の中、彼女は何を思っているのだろうか。





「………あのね、もし、レオくんがいいというなら、私と付き合_____」


「え?」

「え?」



まだ上空なのに、ドアが開いた。

機械の故障だ。


「ギェャアアアアアア!!!」

「落ち着け高山!とにかくこっち側に重心を____っておい!?」

「うわーん!!落ちるよー!!!」


抱き付いてきた。


「ホントにやめろって!落ちるぞ!」


やばいやばいやばいやばい




________________

「観覧車のあそこヤバくね?」

「ホントだ!皆見ろあそこ!」

(キャー!傾いてる!!)

(おい……マジで落ちそうじゃないか?)

(とりあえず係員呼んだ方が……)

(誰か助けられないの?)





「僕が行きます。安心してください」


「えっ?」


「爆裂魔法!



突風魔法!



もう1回突風魔法!」


(おいあの係員スゲーぞ!)

(20メートルくらい飛んだぞ……)

________________



やばいやばいやばいやばい


「大丈夫ですか!って、レオくん!?」


「ギャアアア!!なんで人が~!!!って、五十嵐!?どうしてここに!?」


「それは後で。今から飛び降りるよ。外から見ればこのゴンドラ、外れそうなんだ」


「それはマズイな。でもここ、高いぞ。……信じていいんだな?」


五十嵐だから安心できた。すんなり信用した。なぜならこいつの魔実順位は確か……


「ああ、もちろんさ」


「ほら高山、五十嵐に掴まって。飛び降りるぞ」


高山は涙で見えていないのか知らないが、とにかく面倒だったからオレから掴ませた。


「ぐすん……何言って____えぇーー!!落ちてるんですけどぉぉ~~~!!!」


「うぉぉ!見ろよ高山、これこそが夜景だよ」


観覧車で見たものよりも何倍も美しかった。灯り1つ1つが鮮明に輝いて、この遊園地を光で覆うその姿を、スリルを味わいながら観れるなんて最高だ……!

高山はまた涙でいっぱいになっていたから観てないのだろう。勿体ない。


「全力の……!


突風魔法!!」


五十嵐は地面に目掛けてえげつない突風魔法を発動させた。離れて見ていた人たちも吹き飛びそうになるほどの威力だった。


こんなやつと予選当たりたくねぇ……



(あー終わった終わった)

(良かった助かって)

(もっとしっかり検査しろよ)

(ゴミかよ、この遊園地)


まわりにいた人たちも散っていった。


「で、どうして五十嵐がここに?」


「僕、趣味でここでバイトしているんだ。誰にも言わないでよ?学校、バイト禁止だから」


「言うわけないだろ。だってオレたち友達だろ?」


友達になった覚えはないが、良い奴を演じておいた。そっちの方が良いかと思って。


「ハハハ、ありがと。それで、2人は付き合っているの?」


「えっ!?ち、ちがうちがう。今日はただ遊んだだけであって__」


「わかってるって(笑) 今度僕とも遊ぼレオくん」


「OK。あと、オレのことはレオでいいぞ」


「うん、ありがとうレオ。あ、僕はまだ仕事残っているから、じゃあね」


「おう、またな」



……良い奴だよお前は。良い性格持っているし、強いし。

そしてバカなオレとは違って、優しさの意味を履き違わずメリハリがあるのだろう。


オレも、変わらないとな。



「泣き止んだ?もういいか?」


「うん……。もう帰ろ、ね?」


さすがの高山も、もう懲り懲りって感じか。


あぁ、散々な1日だった……




{レオくん、暖かったなぁ/// もう1度、次はちゃんとした形で抱き締めたいな。


あれ、こんな大きい電工掲示板あったっけ?はしゃぎすぎて気づかなかった}


<速報です。アルカディア王国による、第一部隊大将ケヴィン・アストレア兵士が現在、日本に到着しました>


{へ~、アストレア兵士、日本に来たんだ~。テレビの取材とかかな?}




「がはぁっ!あぁぁぁ!!ああああああああ」


「レ、レオくん……?レオくん!しっかりして!!」


切り刻まれたかのように、レオくんは悶え苦しんでいた。


「誰か…!誰か!助けて!!この人を助けて!!」






五十嵐恭也 11/648位

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