本戦出場予選5
5、
次の日の中頃___
同じクラスの海藤がオレにこう言う。
「なんか今日、高山変じゃないか?あいつ、お前を見ると『プイッ』とそっぽ向くし、全然近寄ってないし。なんかあったのか?」
多分昨日のアレだ。まだ拗ねているのか。
あぁ……謝らないとなぁ……
時々チラチラ見ていると、浅井が高山に声をかけているようだったが、機嫌が無さげなのがよく分かる。
「いや、別に大したことないよ」
今日中に謝るか。このままだと予選に集中できない。それに早めに言った方が気が楽だし。
と思いつつも、勇気がなかったオレは結局学校内で声をかけることができず、寮で言うことにプランを変更した。
そして夕方____
東寮、部屋番号311。
そう、オレはもうすでに高山の部屋のドア前に立っていた。
あ、ちなみにオレは西寮。この学校の寮は、クラス順・番号順は関係なくランダムで部屋が決まっている。
まあそうでないと隣が翔真・橘になるはずがないのだが。
つーか、そんなことどうでもいい。今はとにかく高山の件だ。
ああ……こういうの緊張するんだよな…………
少し変な気分になりながらも、恐る恐るインターホンを押す……
ピンポンという音にビビるオレ。
「はい」
きた……!インターホン越しに高山の声が聞こえた。
「レ、レオナルドですぅ。話したいことがあって…………」
「うん、ちょっと待ってね」
ヤ、ヤベェ……少しキモい口調になったのが今自分でも分かった。なんとかして情を保たなければ…!
ガチャ
「で、何のご用件でしょうか?」
あれ……意外に怒ってない…?明るい……?そんな感じだった。
「昨日の決闘………………ゴメン!高山の言う通り、オレは真剣に戦ってなかった!女の子だから優しくしていた。そうすれば傷つかないと思って。でもそんなことされたら逆に傷つくのは当たり前だ!逆の立場になればすぐ気づくのに!そりゃあ怒るよな!拗ねるよな!本当にこんなバカでゴメン!!お詫びに何か____って高山!?」
言葉巧みに勢い良く話した。そして彼女を見るとどうしてか、顔が赤くなっていた。
「はいはいそうですよ!!私は怒ってます!拗ねてます!悪いですか!?」
「わ、わるいとなんか一言も……」
「ふんっ!もういいですぅ!怒ってません拗ねてません。これ以上謝らないで」
ほ、ほんとに怒ってないのか……?怒ってるように見えるけど……
「もうホントにレオくんったら…………
女の子に優しくするって…いつの時代の人…?男女平等パンチが当たり前だよ?可愛いね、キミ」
「ははは……」
良かった……機嫌直ってくれて。本当に落ち着く愛想笑いができた。
「………ねぇ、今週の土日どっちか空いてる?遊園地に行こ。お詫び、してくれるのでしょ?」
「う、うん、他の人はオレから誘っておくよ」
「何言ってるの!二人きりで!!」
「は、はい…………」
急にまた怒り始めた。いったい何なんだよ……誰か、この人をどうにかしてくれ……
「中に入って。今日は夕飯一緒に食べましょ」
「は、はい…………他の人も誘って____」
「だーーかーーらーーーー!!!」
市岡雄大 1/648位
剛山力也 6/648位