本戦出場予選3
3、
放課後、ほぼ全てと言っていいくらいの人数の生徒が、魔実テストの順位を見るために1つの渡り廊下へと集まった。
「あった、私450位だ!ん~~どうだろう?1年生にしては上出来かな?」
「ま、まじかよ……次は頑張らないと……」
「うん、まぁまぁ、安定の順位だねぇ」
今、クラスのメンバー数人と付き添って来ているのだが、本当に密集しすぎてなかなか前に行って見れない。
教師もこれ、分かっているなら対策しろよ。
と言いつつも、どうにかして前に入ることができた。
「見つけた……嘘だろ…?」
「おいレオ、自分の順位見つけたかぁ?
え~~~とぉぉ………… ゲッ!!お前……」
思わず「嘘だろ?」と声に出してしまった。
涼太は心配してくれたのだろうか、オレの結果を見て、悶絶したような顔になっていた。
「オラオラ!!邪魔だ、どけ!」
「うわぁ……なんか嫌な感じの人来たんですけど……」
番長ヅラをした1人の3年生が、周りの迷惑など気にする様子もなく、強引に前へと押し掛けてきた。おかげで少し静まった。
「6位か……まあいい。この4位の奴に戦闘テストで勝ったからそれで十分だ!」
「うわぁ……なんか独り言言ってるぞ……」
「涼太、人の個性をとやかく言っちゃダメだぞ」
「へいへい……って!お前そんなこと言う奴だっけ?」
いやお前…オレのことどう見ているんだよ。
「帰る、後ろを通せ。邪魔なんだよ」
また空気がピリピリとし始めた。すると1人、番長ヅラの奴の前に姿を出した。
「おい剛山、その言い方はないだろ、もう少し優しい口調で言えないのか?」
あれ?この人___
「ちっ……雄大か。他の奴ならぶん殴っていたが、全学年トップ様にはできねぇなぁー!」
…………雄大!?市岡雄大……!
……あぁ、確かに雄大だ。もう2年も会ってないんだ。さすがに一目では分からなかった。でもあの雄大が全学年1位だって?
「1位だからって何でも発言権があると思うなよ?中学まではカスだったくせに」
「今そういうことは関係ないだろ。もういい、皆に迷惑だ。早く帰ってくれ」
雄大がそう言うと、剛山という奴は意外とすんなり帰った。
「皆ごめんね、騒がせてしまって」
「いえいえ!むしろありがとうございます!」
「本当にそうですよ!あの男が悪いだけです」
「次はコテンパンに言ってやってください!」
周りが感謝している。雄大に人気が集まり、皆が寄ってくるのを見ると、何となくあの光景を思い出して感心する。
「おいレオどこ行くんだよ!」
「雄大、久しぶり」
「ん?あっ……レオか!久しぶり!お前この高校に入れる実力あったのか?」
「あ、ああ。まあ、頑張ったよ。あんなことがあったからな…………一生忘れられない………………
逆に雄大もよく全学年トップになれたよな?お前も頑張ったんだろ?」
「あ、ああ。必死になって頑張ったよ。色々あって、あんなこともあったからな……」
オレたちの言う、あんなこと。それは、確か中学1年生の半ば辺りの季節だっただろうか……
___________________
「ナナ……!、オマエ………………」
「…ねぇ…レオ、私……つらい……よ………何が正しいの…………どうすれば良かったの……………………………
もう……居場所…無くなっちゃったよ……」
「マ、マテ……!」
「…………サヨナラ。天国で待っているよ」
「ナナ!!!」
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あの後、ナナはテレポート魔法のゲートに入って消えてしまった。
あのときのオレはまだ日本語をあまり理解していなくてナナは泣いていたから、何言ってたか分からなかった。でも「サヨナラ」は、確かに耳に残っている。
あぁ、ナナ………………
………………
「えっ!? あの…俺、レオの友達の近田涼太っていうんですけど、市岡先輩はレオと知り合いなんですか?」
お、おっと、少しぼーっとしていたようだ。
「そうだよ。レオと少しの間、一緒に暮らしていたこともあったよ」
「………えー!!!!」
これには涼太だけでなく、周りの人たちも大声を上げて驚いた。
そしてこれを聞きつけた浅井・高山・橘・翔真などその他も集まってきて、とにかく暑苦しかった。
***
「高山さん、浅井さん、今度遊びに行かない?」
「おい翔真!お前順位高いんだって?」
順位閲覧の後、翔真・涼太・橘・高山・浅井とオレの6人で、近くのカフェ店に居た。
「そういえばお前たちっていつの間にか仲良くなっているよな?」
「うん!まあレオくん繋がりだけどね」
「俺たちはもうレオ以上に仲良いぜ!
あっ、そういえば明日から予選始まるのだよな?」
「そうだよ。対戦相手は通知で来るはずだけど___」
噂をすれば通知が来た。対戦相手は____
『高山玲奈』
た・か・や・ま・れ・い・な
ん?え!
「高山!?まさか受けるのか?高山って確か治癒系ではなかったか?」
「おっ、相手はレオくんかぁー。へっへーん!私は戦闘にも自信あるよ!」
レオナルド・リューク 640/648位
高山玲奈 385/648位