02 親切設計なチュートリアル
「・・・・はぁ・・はぁ」
俺はを走っている。
異世界という夢と希望に溢れたパラレルワールドを。
剣と魔法とスキルの大世界だ!
「女子は! 女子はどこだ。異世界女子!」
俺は気づくと昼下がりの荒野に放たれていた。
気温は日本で言う5月頃。
普通の人間ならば、「ここはどこだ!」とか「そんなー!」とかやるんだろうがそんなの省略。
「はぁはぁ、スキルを、ためす!」
街、いや女子をみつけるために走り続けていた。
俺はスーツ姿に革靴姿。トラックにひかれた時のままの格好だ。
かれこれ30分くらい走っているがスピードが落ちない。
体は同じだが中身の強度がまるで違っているようだ。
さらにしばらく走っていると街道を見つけた。
その道に沿ってひたすら走っていたら馬車が止まっているのをみつける。
「いたー!みつけた!」
女子がいた!異世界特有のファンタジー衣装だ。かわいい!
だがそれどころではないようだ。
モンスターに襲われていたのだ。
護衛が2人いるが四足の野生獣タイプに手こずっている。
するとこちらに向かって大声をかけてきた
「おいそこの少年!我々はローマス家の者だ。助けてくれれば礼を弾むぞ!」
伯爵みたいな人だ。どうやら貴族家の御一行のようだ。
そういえば言葉も通じる。
なので返事をした。
「そっちに行く、待ってろ」
すると突然頭に言葉が流れた
ピコーン
『チュートリアルを開始します。』
どうやらこの世界に慣れるための転移者専用のシステムメッセージのようだ。
とっても親切設計だな。
『まずは敵の近くまで移動しましょう』
俺はモンスターに怖じ気づくことなく近づいていく。
すると女の子のご令嬢が声をかけてきてた。
「旅のお方!ありがとうございます。どうか‥‥どうか私たちをお助けください!」
美少女は声も美しかった。
ピコーン
『そこからモンスターを攻撃をしてみましょう。いろんなスキルを試せます』
俺はスキルウィンドウを開きユニークスキルを選択した。
えーと、所有アイテム、発動魔法、スキル……
これだ。みつけた!
【勝者特典スキル:衣風憧慟 】効果:条件達成時に離れた場所からでも衣装を遠隔で破ける
転生時に選んだユニークスキルだ。
ぐへへ、早速発動や!
『ピッ』
すると少女の胸元の服が突然ひとりでに・・・・
ビリビリ!
「え?キャーーーーーー!!」
ピコーン
『ええ!!??』
俺
「よっしゃーーーーー!」
貴族令嬢の美しく着飾ったドレスの胸元にユニークスキルをしかけて服を縦に破いた!
うっひょー。
モンスターとの初遭遇からヒロインのピンチに登場するドラマチックな出会い。
これぞ異世界転生! なんて熱い展開だ。
ピコーン
『敵の近くまで移動しましょう。そこから攻撃をしてみましょう!』
日本だとゴスロリ衣装と呼ばれてるものに近いが、そんなパチモノとは違うとても上質な生地。
そこに隠されていた白く透き通るような肌色の胸元がチラリ。
そこから覗ける胸の谷間と、そしてレースが施されたコルセットも美しいっ。
俺は拳握り天高く突き上げた。
「大・成・功!!」
異世界サイコー。
伯爵が女の子を心配しに近づいてきた。
「ど…… どうしたんだいローレン」
「お父様。な…… なぜか服が勝手に破れてしまいまして」
令嬢は胸元を押さえてその場にしゃがみこんだ。
顔は涙目になっている。それがまたしおらしくて良い。
俺はそれを凝視しながら近づいた。
「モンスターのせいですね!おのれモンスターめ!僕が倒してやりますよ!」
ひとまずゴマかした。
「ありがとうございます、あの、気をつけてくださいね」
下から見上げてくるその姿も可愛らしい!
もう一回発動したいなあ。
あ、もうMPが足りない・・・・。
ピコーン
『システムメッセージです。いいから早くモンスター攻撃しろ』
なんかシステムメッセージの口調が変わってきたか?
ひとまずモンスターに飛び掛かった。
「せいっ!」 ドカッ!!
飛び蹴りをすると吹っ飛んでいく。
護衛の者が俺を見て驚いている。
「お主は武道家の者か。すばらしい技だ!」
四足モンスターは吹っ飛んだまま動かなくなる。え?死んだの?
きっともともと弱ってたのだろう。
「ほう、彼は中々の熟練者のようだな」
「ええ、お父様。凄いですね」
ピコーン
『経験値を獲得しました。スキルポイント残り36P分を振り分けられます。バトル終了時にHPとMPは自動的に一定数回復しま――』
ピッ
【勝者特典スキル:衣風憧慟 】
ビリビリビリッ
「キャーーーーー!!」
回復したMPで二回目の服破きを楽しめた!
挿し絵も頑張ってます。
感想お待ちしております。