01 ユニークスキルを選ぼう
【どんな子の服でも破れるスキル】
俺は文字の羅列の中から心が踊り出す項目を見つけた。
「これだ!」
「え?」
「着ている服を破れるスキル。これ!」
「あー、いや……でも真っ先にこれなの?他に剣術とか盾スキルのユニークスキルとかあるよ?」
「そんなのいらない。これが欲しい!」
今俺は天国みたいな雲の上の白い世界で神様とかいう男と話をしている。
その男が出している宙に浮くステータスウィンドウにはズラっとユニークスキルが並んでいてそれを操作していた。
「う~ん……あ、そう。じゃあこのスキル開放するね、ポチっと」
ピコーン
『ユニークスキル:勝者特典を解放しました』
「はい、残り9P」
「全部投入して」
「は?」
「残り9Pを、全部! それに投入!」
「・・・マジで?」
「神様がマジとか言うなよ。チャラい」
「す…… すみません(なんで神様が謝るんだろ)」
空と雲以外、本当に何もない空間だ。
天国と言われても納得できる場所。
俺は運命にはなかった不慮の死を迎えたらしい。
諸事情から元の世界に戻れないので異世界で暮らしくれ、とのこと。
生きていく上でのサポートとして自分の好きなユニークスキル、それとスキルポイントをボーナスしてくれているところだ。
ふむ、噂に聞く異世界転生とはこの事か。これも中々良い待遇なのだろうな。
俺はそれとなく不遇な人生を送ってきたものだから、こういう機会があれば好き勝手に生きていきたいと願っていたのだ。
だから俺は遠慮などせず欲望と野望を優先させる。
「まあ今回は本人の希望を聞くものだからいいけど。じゃああと2p使うね。はいスキルレベルが上限の3まで上がったよ。あとは一定のレベルに達した時に上限値が開放されるシステムだから。じゃあ次どこにステータス振り分けようか」
「上限値増える所までレベル上げて。それでまたこのスキルにポイントを投入する」
「ちょ、ちょっとまって。何でそんなにコレにこだわるの? 他にもあるよ? いやそもそもこれステータス振り分けなんだからレベルは上げられないんだって」
「オレは服破 のスキルを上げたいんだ! だからレベルそのものをオマエがここで上げてくれ!」
「もう略称つくってるし。えー、でもこれじゃあ特別扱いすぎるよ~。ただでさえポイントを転生ボーナスでプレゼントしてるのに~」
「他のスキルには振り分けない。このスキルだけ。このスキルのためだけだから」
「そんな先っちょだけでいいからみたいに言われても・・・うーん、だったらまあいいのかなあ?それじゃあ次の上限開放ラインのレベルは…… げ!Lv.30?」
「今いいって言ったよね神様。ウソついたら閻魔様に舌を抜かれるぞ」
「ここ仏教じゃないんだけど。うーん…… 特殊スキルだから開放難易度がバカ高いヤツだったのか」
ポチッ。
ピコーン
『Lvが30に上がりました。スキルポイントが29付与されます。勝者特権スキルの一部上限が開放されました』
「さっすが神様!!じゃあそれでスキルポイント全部投入しておいて」
「もうわかったよ。ポチッ。はい、服破のスキルポイント9になったよ。っていうかレベルアップしたからスキルポイントの残量がえらい事になっちゃった。はじめの転生ボーナス分より増えてるよこれ。」
「カンスト開放」
「・・・は?」
「カウンターストップのシステム開放をあらかじめ設定しておいてよ。将来もっと上げるから」
「キミの情熱は一体なんなの! もうだめ。まだカンストまで長いし行き着いてから考えなさい。というかまずは生きることに精一杯になるものなの!はい、じゃあね!」
「まて、じゃあもっとレベルを上げ── 」
ポチッ
「うわああああぁぁぁ・・・!!」
こうして俺、神楽圭人の自由気ままな異世界生活が始まった。
勢いを大事にしてますが話づくりはキチンとしたものを目指そうと思います。
楽しんでもらえると嬉しいです。