捨てられた勇者と同士たちの復讐
「面をあげよ」
今僕がいるのは王座の間である。
僕はついこの間までただの農家の息子だった。
そう僕は農民の息子だったのだ。
しかし3ヶ月前、
急に城から使いが来て、
「貴様はこの世界を救う勇者である、そのため
今から城へ向かう早急に準備せよ」と言われた。
そして城へ連れていかれ王座の間で国王より
「先日、我らが神アルト様よりお告げがあり、
勇者が貴様であるということが分かった 貴様にはこれから勇者としてこの国の敵を倒しこの国を守ってもらう」
そんなの無理だ! そんな力はない!
「僕にはそんな力はありません!」
「ふむ……ならばステータスを確認してみるか、
ステータスプレートを用意せよ」
ステータスプレート⁉︎ 1つで一生遊んで暮らせる程のお金が手に入るがものじゃないか⁉︎
これじゃあ勇者だったら戦わなくちゃいけないし
勇者じゃなかったらこんな貴重なステータスプレートを無駄遣いさせたってことで何をされることか分からない。 どちらにしろ最悪だ。
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名前 ハク
種族 人間
レベル3
HP 100
攻撃 12
防御 20
魔力0
適正魔法
スキル
称号 ??勇者
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「やはり称号に勇者とあったな」
「そんな…」
「しかしまだレベルが足りずなんの勇者かは
表示されてないか……… 」
それから僕の日常は変わった前は朝から日が暮れるまで畑仕事をしていたが、今は朝から日が暮れるまで鍛錬や勉強など様々なことをやらされている。
たまに貰える休みも外に出れば、
「勇者様よ!」
「え⁉︎ 嘘⁉︎ 本物⁉︎」
ザワザワ
あたりが急にざわつき出した
この国の勇者ということですぐに騒ぎになってしまう。
その他にも
「勇者様昼食がまだなら是非食べていってください」
「いえ結構です」
「そう仰らず お題は結構ですので」
こんな事や
「勇者様〜 私達と遊ばな〜い?」
「すいません急いでいるので」
こんな事など
色々な事が起きるので休みの日なのに休めない。
そしてとうとう恐れていた日がやってきた
「今日は実際に魔物を倒す訓練をする まあ魔物といっても最弱のゴブリンだがな」
「さあ攻撃してみろ」
「む…無理です」
「何?」
「殺すなんて無理です!」
魔物でも生きているんだ 生き物を殺すなんてできない。
「ふむ…… まだ早かったか」
その日の訓練はそれで終わった
そんな生活が2ヶ月ほど続いたある日、国王の一言によりまた僕の日常が変わった。
「レベルも上がりそろそろなんの勇者か分かる頃だろう」
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名前 ハク
種族 人間
レベル11
HP 1000
攻撃 15
防御2500
魔力0
適正魔法
スキル 防御急成長 攻撃緩成長
称号 守の勇者
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「な⁉︎ なんだこれは!!!」
レベルが8も上がっていたが国王が驚いたのはそちらではなく攻撃が3しか変わっていないのに対してHPと防御が桁違いに上がっていた事だ。
日常は、最悪な方に変わってしまった。
1日目は使用人たちに陰口を叩かれた
2日目には嫌がらせが始まり
3日目には食事が用意されず
4日目は久しぶりに町に出ると陰口を叩かれ、石を投げられ、お店からは「よくも俺たちを騙しやがったな! 今までタダでやったもんの代金払うまで何も売らねえ!」と言われた どうやら町中に俺が無能であると言うことが知れ渡っているようだ 多分広めたのは使用人たちだろう
5日目は、いきなり兵士が部屋に入ってきて、
束縛され牢獄に入れられた
14日目は家族が会いにきたが「お前のせいで
俺たちは家も畑も取り上げられた! お前のせいで…お前のせいで…」と父に言われ母はずっと僕を睨んでいた
そして30日目つまり今日僕は王座の間に連れてこられた
「面をあげよ」
僕はどうなるんだ。
「残念だが貴様には死んでもらう」
「そんな⁉︎ 何故僕が死ななければいけないんだ!」
嫌だ 死にたくない 死にたくない 死にたくない
「黙れ! 勇者は1人しか存在しない! つまり
貴様が生きている間は次の勇者が現れないという事だ!」
「オホン という事を踏まえ大臣達と検討した 結果 戦う覚悟も、まして力もない勇者はいらないと満場一致で決定した」
「……」
誰も僕のことを必要としていないのか
「貴様には生きたまま“奈落の墓場”に落ちてもらう」
「奈落の…はか…ば?」
なんだ? 奈落の墓場って⁉︎
「奈落の墓場とは古来より城の地下にある底が見えぬ穴のことで罪人や国に反旗を翻した者の死体または生きたまま落とす場所のことである」
そんな場所に落とされるのか⁉︎
そんなの嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ
「嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ…ブツブツ」
まだ死にたくない!
「嫌だ 嫌だ 嫌だ」
「うるさい 気絶させよ」
「は!」
「嫌だ 死にたくない 死にたくn ドゴォ」
「能力封じの鎖は付けず気絶したままで構わないから落としておけ」
「は!」
ドガァン
「グハァ」
なんだ今の衝撃は? 身体中の骨が砕けたかの様なこの感覚は?
「フー フー フー」
声が出ない、身体も動かない。どうなってる。
(ヘェ〜 君生きてるんだ)
(珍しいね)
(この状態で生きてるなんて逆に不幸だね)
(ねぇ この子使えないかな?)
(使えるだろうが強制はできないぞ)
なんだこの声? 直接心に響いてくるこの声は?
(なんなんだ? ここはどこだ? お前達はなんなんだ?)
(すごい君まだ意識あるんだ)
(質問に答えてくれ)
(ここは奈落の墓場って呼ばれているところだよ)
奈落の墓場?…ああ あの国王が言っていた場所か
(それで 私たちが何なのかという質問に対しての答えだけど… そうだねぇ〜 私達って何なの?)
(うーん なんだろう?)
(魂?)
(呪い?)
(まぁ 簡単にいうと死者かな)
(そうなの? 私達って死者でいいの?)
(死んでるしそれでいんじゃね?)
(つまり幽霊か)
(幽霊ね! そうそう多分幽霊が一番近いね)
(で? なんで幽霊がこんなところにいるんだ?)
(私達がここにいる理由は多分怨念だよ)
(怨念?)
(そうだ 俺たちは怒り 憎しみ などの負の感情からできているんだ…多分)
(多分って?)
(僕達にもよく分からないんだよ)
(でも唯一分かることは皆んなこの国に、
王族に、家族に裏切られ、殺され、恨んでるってことだから)
(お前らも裏切られたのか)
(お前らもってことはやはりお前もか)
(僕は欲しくもない勇者の力を手に入れて、国のために戦う様に命じられたけど、その勇者の力が戦う力じゃないと分かると国民が国王が手のひらを返した様に接してきた)
(そうか……なあ)
(何?)
(復讐したいか?)
(どうなんだろう 自分でも分からないよ)
(もし復讐するなら私達の力を貸してあげるわよ)
(何故力を貸してくれるの?)
(さっきも言ったろ俺たちは怨念だって)
(皆んな復讐したいんだよこの国に)
(それに君はもう少しで死ぬしね)
(そうだねここに落ちてきて生きてるのはまさに奇跡だもんね)
(皆んなの力があれば国王も倒せるの?)
(倒せるよ でも倒したとしても君は死ぬよ)
(拒否してくれても構わないよ)
(強制はしないぜ 決めるのはお前だ)
(このまま何もせずに死ぬのは嫌だし多分僕は心の中では復讐したいと思ってるんだろうな……皆んな僕に力を貸してくれこの国に復讐をしよう)
(ふふ ありがとう)
(感謝するぜ)
(でもどうやってここから抜け出すの?
僕は身体が動かないよ?)
(力を貸すって言っただろ ここにいる皆んなの魂を君の体に憑依させる そうすれば一時的に僕達の力を使うことができる そうしたら回復魔法を使って身体を治すことが出る)
(ただし大量の魂が入るんだから身体がいつまで持つかは分からないよ もしかしたら入った瞬間に死ぬかもね)
(後入った瞬間に私たちが体験した悲しみや苦しみの記憶が凝縮されて一気に押し寄せてくるよ
それでもやるの?)
(ああ 頼む)
(分かったわ 皆んな! 行くわよ!)
((((((((おう!))))))))
「グハァ」
なんだ! この痛みは! 痛い! 痛い! 痛い!
まるで身体を壊して治している様な痛みだ
「うわぁぁぁぁ」
頭が割れる様に痛い
『殺してやる!』
『よくも妹を! 絶対に許さない!』
『た…す…け…て… ハァハァハァ さむ…いよ
くら…いよ』
『なんで私が捕まらなくちゃいけない!
私は何もしていない! 』
『なんで私を産んだの? 愛人の娘だからという理由でなんでこんなに蔑まれなければいけないの!』
これは⁉︎ 記憶が流れ込んでくる!
これが皆んなの記憶…
僕と同じで国に裏切られた殺されたもの
唯一の家族である妹を国王に愛人にならなかったからと殺され、国王を殺そうとして逆に殺されてしまったもの
奴隷の身分で国王の子を授かったから、殺されたもの
仲間だと思っていたものたちに裏切られ、冤罪をかけられ処刑されたもの
愛人の娘という理由で蔑まれ苦しみながら死んだもの
その他にも様々な記憶が流れ込んでくる
これが、僕と同じやそれ以上に苦しんだ人たちの記憶…
「ハァ ハァ ハァ」
痛みが引いてくる
(上手くいったみたいね)
(なんとか成功したな)
(うん 成功してよかったよ)
(それより早く傷を治さないと!)
(そうだ! 早く治せ!)
(どうやるの? 僕魔法を使ったことがなくて)
(大丈夫よ 回復と思うだけで良いわ 魔力のコントロールはこっちでやるから)
(分かった…回復!)
身体が何かに包まれる様だ 心地いい
そして
「おお! 身体が動く!」
包まれる様な感覚が終わるとさっきまで動けなかったのが嘘の様だ
(ふふ 良かったわ それじゃあステータスを見てみましょう 確か鑑定スキルを持ってる人がいたはずよね?)
(僕持ってたよ)
(鑑定?)
(自分や他の人のステータスが分かるスキルよ
やり方は魔法の様に思えば使えるわよ)
「鑑定!」
(ふふ 別に声に出す必要はないのだけれどね)
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名前 ハク
種族 人間?
レベルerror
HP error
攻撃 error
防御 error
魔力 error
適正魔法 全魔法適正
スキル 防御急成長 攻撃緩成長 剣術 格闘 槍術
魔力操作 自動回復 ・・・・・・・・・・
称号 守の勇者 復讐者 聖騎士 聖剣士 拳闘士
槍使い 魔術師 ・・・・・・・・・・・・・
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「うわぁ〜 色々やばいことになってるよ」
(そりゃあ当然だろ 俺たち全員分の力だからな)
(そんなことより早く行動しないとこの身体がいつまで持つか分からないんだから)
「そうだね とりあえずこの上が城だから色々スキルを使って一気に突き抜けよう」
(豪快だな)
「それぐらいしないとね」
(スキル選択は私に任せて)
「分かった 頼むよ」
(そうね…剣創造スキルで剣を作って突撃スキルで一気に上に上がる…こんなところかしら?)
(おお! めっちゃいいじゃん)
(ホホホ 儂の突撃スキルがこんな形で役に立つとはな」
「よし! それじゃあ皆んな、復讐を始めよう!」
(((((((おおー!!!))))))
世界から国が1つ消えた。
国があった場所は文字通り無くなっていた。
この日、この場所で何があったのか知るものはいない