二人の時間
「ティターニア、遊びに来ましたわ!」
呼び鈴の向こうから元気のいい声が聞こえてくる。ティターニアは目をこすりながら時計を見る。まだ朝も早い時間だ。ティターニアは欠伸を噛み殺し玄関に向かう。
「こんな早くから元気ね……」
「うふふ、今日だけ、ですわ」
そう言ってサイスはティターニアの横をすり抜けティターニアのベッドに腰を下ろす。
「さあ、おいで」
サイスの言葉にティターニアは首を傾げた。
「おいで」
その優しい言葉にティターニアは誘われるように胸の中に顔をうずめた。
「ティターニア、今までよく頑張ってきたと思いますの。これからも、頑張ってくださいませ……もし困難に挫けそうなら、私の胸を思い出してくださいな」
ティターニアは規則正しく脈打つ心音と、その両にある柔らかな感触に癒やされていた。
「ティターニア、貴方は今まで人に甘えたことがありまして?」
サイスに頭を撫でられていたが悪い気はしなかった。むしろ心地良い。ずっとこうしていたいほどだ。
「う~ん、覚えてないな……でも!」
ティターニアはガバッと音がしそうなほど勢いよく顔を離すと、サイスの顔を自身の胸に押し込める。
「きゃっ」
サイスが可愛い声をあげる。ティターニアは先程自分がされたことと同じ事をする。
「それは、サイスも、でしょ?」
サイスはそれを言われ、そっと目を閉じた。
「そうですわね……私も…甘えたことなんて、指折り数える程度ですわ」
サイスは両手をティターニアの背中に回しながら谷間の顔の位置を調整する。
「サイスも、辛くなったら、思い出して良いんだよ?」
ティターニアが言うと暫く間をおいたあとサイスは
「私は…この胸を分けて欲しいですわ」
「何て?」
ティターニアは思わず聞き返してしまった。
「だって気持ち良いんですもの」
「いや、サイスの体格でこの胸はちょっと……」
「あらあら、どういうことですの?」
サイスの眉がつり上がっているのを見て、言い過ぎたかな、と思うティターニア。
「あ、いや、その…ロリ巨乳は趣味じゃないの」
「……それもそうですわね」
それで通じるんだ……。
「……ティターニアの胸が気持ち良い訳が分かりましたわ。服を着て下さいな」
そう言えばティターニアは寝起きだったのでキャミソールだけだった。
「突然押しかけてきておいて……」
ティターニアは呆れ顔で制服に袖を通す。
「まだ時間がありますわね」
サイスは少し嬉しそうだ。
「汚さないでね?」
「ティターニアこそ」
二人は抱き合い、登校時間ギリギリまで温もりを分かち合った。




