サイス、箱庭ゲームに興味を持つ
ティターニアは鼻歌交じりに制服に身を包むと、姿見で身だしなみを確認する。
「よし」
姿見に向かって言うと玄関をくぐる。
「あら、奇遇ですわね。私も今から行くところですわ」
ちょうど目の前を通りかかるサイスと目が合い、声をかけられる。
「歩いて登校なんて珍しいじゃない。どういう風の吹き回し?」
「そこまで珍しくなくってよ」
サイスは胸を張り応える。ティターニアはそれもそうか、と短く返すと隣に並ぶ。
「お、ティターニアにサイスじゃないか」
フーガが手を振りこちらを呼んでいる。ティターニアは歩む速度を早めると、サイスもそれに続く。
「ねえねえ、今度3人でゲームしよ」
ティターニアが言うとフーガは首を傾げながら
「何か良いのあるかな、探してみるよ」
そう言う。多人数で遊ぶことを考えるとタイトルが限られてくる。
「できれば簡単なものが良いですわね、私、あまりゲームはしないので……」
サイスが遠慮がちに言う。変に凝ったゲームは操作が難しかったり、システムが複雑だったりと、初心者お断り感が漂う。
「じゃあオープンワールドのアレ行くか」
「アレって、アレ?まず操作の仕方を教えることから始まるけど、大丈夫?」
フーガの思いつきのタイトルにティターニアが疑問を投げる。
「じゃあパズルのアレとか」
「それ、2人までしか遊べないね?」
フーガが提案し、ティターニアが鋭く突っ込む。
「ふふっ、二人は本当に仲がよろしいのですわね」
突然のサイスの言葉に二人は会話が止まる。
「だって、付き合ってるし?」
ティターニアの言葉にサイスは
「二人は随分、遠回りしたみたいですけど、うまく纏まってよかったですわ」
サイスはまるで自分の事のように話している。
「まぁ……そうね、じゃあなおさら、お礼にゲームをしなきゃね」
ティターニアは端末を手に色々なゲームを見せてみる。その殆どのゲームをティターニアはやったことがある。ゆえに教えることができる。
「あ、一緒に何か作るならどう?」
「作る?」
サイスはティターニアの提案したゲームにイマイチぴんと来ない顔をしていた。
「ええ、このブロックを組み合わせて色々作るゲームなんて良いんじゃないかな。箱庭ゲームっていわれてるやつ!」
ティターニアがいくつか動画を紹介し、見せてみる。美しい建築模様からただの豆腐まで、幅広い建築がブロックで作れる。そんな紹介動画だった。
「ええ、いいですわね、これ、私にもできそうですわ」
サイスも興味津々に紹介動画を見ていた。




