酒気帯び授業禁止
スイングバイを無事成功させた学園都市船は次の目的地、火星へと向かう。スイングバイを終えた直後、ティターニアは無重力状態から人工重力へと切り替わる瞬間を体感した。
「おお、一応ゆっくり重力が回復するのね」
ティターニアは感動するように言うと酒瓶を机に並べ、まずは1杯。しかし何か忘れてないか思い出そうとする。
「あ、学校」
ティターニアは慌てて制服に身を包み部屋を飛び出す。外に出るとほとんど生徒の姿がなく、完全に遅刻組であった。
「完全に遅刻だし、ゆっくり行こう」
そう決めたティターニアの足取りは重かった。
「ティターニア君」
「はい」
教員に言われティターニアは首を傾げる。
「遅刻したんだから、少しは遠慮しながら席に座るとかできないのかね」
「え、なんで?」
ティターニアは不思議そうに机の接続端子に端末をつなげる。教員はその後不満そうに
「あと、この学校は酒気帯び授業は禁止されててね」
ティターニアは少し考え、お酒なんて飲んだっけ?という顔である。
「ティターニア君が教室に入ってから酒気が検知されているのだが……ティターニア君、何をどれだけ飲んだんだ?」
「え?ジンを1杯だけだけど?」
それを聞いて少し教室がざわめき始める。
「ちなみに聞くが、普段どれだけ飲むのかね?」
教員が眉間にシワを寄せながら言うのでティターニアは顎に手を当て考えながら
「気分次第だけど、ジンなら5ショットくらい、アマレットなら1瓶くらいなら、飲んだうちに入れないけど……アブサントなら半分くらいは飲むかなぁ」
それを聞いて教室は一気に静まり返る。一部の者が「そんなに飲むの?」と言う呟きが聞こえる。
「先生、今度飲み比べでもいかがでしょう?」
ティターニアは端末を机から切断し、席を立ちながら言う。
「君の限界を聞いておこうか」
教員はあえて何も聞かず、その問に質問で返す。
「ウォッカを2瓶。そのあたりでお腹が一杯になっちゃうの」
ティターニアはそう言うと教室を出ようとして止められる。
「帰るのかい?」
「酒気帯び禁止と言ったのは先生ですよ。必要なデータは引き抜きましたし……では、また明日」
ティターニアは振り向くことなくそう言うと、帰宅を急いだ。酒を浴びるように飲む。たまにはそれも良いだろう。今日はそんな気分だ。




